もうすぐクリスマス

11歳になる、なまいき盛りの娘「ひかり」に

 

 

「そういえば、今日、サンタさんが来たけど

何欲しいのか、

早くリクエストのお手紙くれないと

買出しに間に合わないって

ぶーたれてたよ」

 

 

というと

 

 

ひかり

「ん、じゃぁ。サンタさんにゲームの課金って言っといて」

 

って。

 

 

おいっ。

 

 

 

「いや、待て、ひかり

サンタさんはゲームの中に入れないからやめてくれって

事前に忠告してたよ」

 

 

「んじゃ、お金」

 

 

 

 

 

「・・・

 

 

 

とりあえず、明日もう一度リクエストを聞きにくるっていってたから

なんでも好きなものをお願いしていいよって(お金、課金以外)

早くお手紙に書いときなさいね」

 

 

 

ということで、

その後、私は外出し

その間、ひかりはサンタさんへのお手紙を書いていたようでした。

 

 

 

翌日、

天然なひかりが学校にいってる間

サンタさんへのお手紙に

誤字脱字がないか

一応チェックすることにした

 

 

封筒の宛名には

 

覚えたばかりのローマ字が。

 

 

もう〜〜〜!

 

 

メーリークリスマスは

ローマ字じゃないって言ったよね!?笑

 

 

 

 

ホント適当なんだから。

 

 

 

でも、こうしてサンタさんへ労いをかけるって

エライ!エライ!!

 

 

 

 

 

続いて本文

ちゃんと文章になってるのかな??

 

 

ほら、やっぱり

さんたさん=サンタさん

はカタカナだってば!!

 

 

 

ここからは

みなさんが読みやすいように

文字にして掲載しますね

 

 

meri~kurisumasu.

 

今年のほしい物は・・・

 

ママのおばあちゃんのけんこうと、パパのおばあちゃんのけんこうと

ママのおじいちゃんのけんこうや、

私の家ぞくのけんこうがほしいです。

 

 

 

(健康も家族も、漢字、習ったでしょ笑

でも、嬉しいな)

 

 

 

あと、もうひとつあります

 

 

 

(なに??ここまで「ほのぼの系」だったけどやっぱり「課金」とかぶちこんじゃう感じ?)

 

 

 

それはおにいちゃんの声がほしいです。

 

おにいちゃんに声をとりもどしてほしいからです。

 

 

けれどさんたさんはこんな重要なものを・・・

プレゼント出来ませんよね〜♡

 

 

すいません、ならぼうえん鏡がほしいです!!

 

 

2020 12/25 kurisumasu れいわ2年

長南ひかり

 

 

 

 

 

 

 

・・・・

 

 

 

 

 

 

頭が真っ白になった。

 

 

 

 

 

 

私の兄は、3年前

病気から呼吸ができなくなり

気管切開をした。

 

 

すなわち「声を失う・しゃべれない」という選択をしたのだ。

 

 

歌がうまく、バンドを組んでいた兄が

声を失うというのは

どれだけつらかろう

 

 

 

でも、

声よりも、生きるために

気管切開をした。

 

 

でも、運命は儚い。

 

 

それでは済まなかった。

 

食事もできず

から直接栄養を摂取するため

胃ろうという、胃にチューブを通す選択を選んだ

 

 

そして、尿管にもチューブがされた

 

 

 

でも、

神様は

それでも許してくれなかった

 

 

 

兄は、さらに心肺停止になり

心臓の蘇生を繰り返した。

しかしその間の数分間

脳に酸素が行き渡らず、意識も失った。

 

 

 

ずっとベットの上で

ただ、目を開け

何も言わず、何を考えているのか分からず

今、命をつないでいる

 

 

そんな兄が

元気だった頃

ひかりを連れ出しては、

車椅子で遊びに連れ出し

いろんな物を買ってくれた。

 

 

 

兄の優しい声で

「ひかりさん」ってたくさん歌ってくれたなって。

 

 

 

目頭が熱くなり

ツーーーーと

涙が頬を伝った。

 

 

すると

 

 

サンタさんへのお手紙が

もう一枚あった

 

 

 

 

めくって見ると

 

 

 

 

 

 

 

なぜ、ぼうえん鏡をたのんだか=

 

 

それは・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

 

 

おにいちゃんに星空をみせたいからです!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

胸が詰まった

 

 

 

 

 

 

 

人は大事な瞬間ほど言葉を失うと言うけれど

 

 

言葉にできないこの世界で一番大きなものが

私にドッと押し寄せてきた

 

 

 

 

11歳の天真爛漫で、いつもケタケタ笑ってる娘が

こんなことを考えてたなんて

 

 

 

なんでも好きなものをお願いしていいんだよ

 

 

という彼女の一番が

「お兄ちゃんを喜ばせてあげたい」だったなんて。

 

 

 

この愛の思いに

ただ、ただ涙があふれた

 

 

 

 

 

 

 

私は出張ばかり、仕事ばかりで寂しい思いをさせて

罪悪感を抱えながら

子育てをしていたけど

 

 

彼女の中に愛が育ってる

だから何の心配もない

 

 

さらに、彼女は

こんなにも人を愛し、

小さな身体で

宇宙いっぱいの愛を抱えているんだ

 

 

 

 

そう思えた。

 

 

 

 

 

人はきっと

誰かを愛すること

しあわせなのかもしれない

 

 

 

 

よく、見返りを求めることが愛ではないというけど

 

 

 

 

自分の愛を出せる

愛させてもらえる

愛を受け取ってもらえる

 

 

 

 

その時、人の命は輝く

 

 

 

 

兄は実質的な

愛のお返しはできない

 

 

 

でも

愛の受け皿になってくれていることが

愛のお返しであり

愛をくれているのだと思う

 

 

 

違う言い方をするならば

 

 

私は兄を助けているのではなく

助けられているのだ

 

 

支えているように見えて

支えてもらっているのだ

 

 

 

兄は

たくさんの人の中に湧いている愛を

こんこんと湧き出させている

 

 

ずっと。ずっと。

 

 

 

 

こうやって

目に見えない「愛の与え合い」によって

この世界は成り立っている

 

 

 

そしてまた

違う人から愛され、また誰かを愛すという

愛の循環をしている

 

 

 

それがホントの意味で

私たちの生きがいになっているのだ。

 

 

 

お兄ちゃん・・・

私たちに生きがいをくれて

 

本当にありがとう

 

 

 

 

 

でも

 

 

兄が望遠鏡で星を見るには

どうしたらいいんだろう

 

 

寝たきりだしな。

 

 

 

amazonで調べて見ると

 

望遠鏡に携帯電話を接続し

携帯画面越しに星が見れる望遠鏡を見つけた

 

 

 

 

 

私はサンタさんへのお手紙に

 


「サンタさん

携帯でも見れる望遠鏡にしてください

 

そしたら

兄ひとりで星を覗くような

孤独な宇宙じゃなくて

みんなで「きれいだね」っていえる、大きな宇宙がみれるから」

 

 

 

 

 

そう、ひかりにみられないように

書き足しておいた