中にはいるとき、
お店の人に
「免許証などの身分証明はおもちですか?」
と聞かれた。

どうやら、そういった類いのものが
必要なようだ。


私はもっていたけれど、
「すみません。本日持ち合わせておりません」と咄嗟に嘘をつく。


個人情報の痕跡を残したくなかった。




すると、
お店の人、躊躇し始める。


「すみません、本日ちょうど持ち合わせていないだけで、身分証明はあるんです!」



せっかく来たのに
このまま帰るわけにはいかない。




しょうがないなぁ、
といった様子でいれてくれた。



あとになって思うと、
突然アポもなしに来た子に対する興味もあったのかもしれない。



お店の奥、
というのはまさに、
その現場の一角だった。


うすぐらい店内に音楽が鳴り響く。


ちょうど二人が座れるくらいのスペースが10個くらいに仕切られている。


奥のブースにはお客さんらしき人と
女の子がいた。



私がそのブースのひとつに座って待っていると、
さっきとは違う男の人が来てくれた。

金髪にピアス。


眉毛、ないんですけど。




名前、年齢を聞かれ、適当に答える。
そのあとに聞かれたのは、
経験の有無といくら稼ぎたいか、
ということだった。


私は経験がないことと
月に10万という金額を伝えた。



お店の人は、
こちらを観察するように、
いろいろと質問をしてくる。

やはり、一般的には
女の子は何かの募集を見てくるケースが多いようだ。




どーゆーお店か知ってる?

と聞かれた。






はい。

と答える声が小さくなる。




一連の流れを説明してもらった。



1クール30分
指名があれば其のお客さんの隣につく
軽く会話して
キスしたり触ったり触られたり。
ゴールは男の人の射精。
終わると掃除?して
時間になると呼ばれるので挨拶してバイバイして終了。



淡々と説明する金髪ピアス。



外見よりもなぜか優しい印象を受けた。




私は「ふーん。」といった態度で聞いていた。
「そんなもんかぁ。余裕っしょ!」
という感じ。
ちょっと無愛想に
ひねくれた最近の若い子になりきって。

確かに少し落ち着いてはいたようだ。




すると、
男の人とセーラー服をきた女の子が手を繋いでブースの横を通るのが見えた。


30代後半くらいのおじさん。

席につくなり、
女の子はこの男の人の膝の上に股がっている。



正面を向かい合って。


リピーターとみた。


パーテーションの影からキスしてるのが見えてしまう。。。。



金髪ピアスのお兄さんは
質問を続ける。



「もう一度聞くけど月にいくら必要?」



「10万です」



「週に何回位はいれる?時間帯は?」


「平日の昼間希望で1~2回です。」


「普段は何してる?」



「学生です」



「わかっているとおもうけど、結構キツイお仕事だよ。
体力も使うし、精神的にタフでないとやっていけない。
本当に大丈夫?覚悟はあるの?」






角のおじさんは
女の子とのキスを続けている。

さっきより密着した感じで。。。


彼女の手はいまどこでどのように動いているのだろうか。


同じくおじさんは?



二人の頭が密着してつつも
もぞもぞ動いているのが、
離れていても見えてしまう。


ボーイさんがチラチラと見ながらブースをまわっていく。



恥じらいと言うものがない空間。
まさに、
そーゆーことをするための場。

わかっていたけれど
改めて実感した。














そして、無理だとおもった。



金髪ピアスの人に、
「もう一度よく考えます。」
と伝えた。


怒られるかとおもったけれど、
金髪ピアスの人は、
意外にも穏やかに
「また、気が向いたら連絡してね」
といって電話番号と共に名刺をくれた。


まさに悪と思っていた場所は
意外にもそうではないのかもしれない。

そこにいる誰もが
それぞれの役割を淡々とこなす。



愛想を振り撒いてサービスをする女の子。
うはうはでれでれしながらぴゅっとするお客さん。
それを感情なく見回るボーイさん。




だからと言って、
旦那があの場で、
セーラー服の子と
へらへら、ウキウキ、イチャイチャしてると思うと
吐きそうになるし、頭いたい。







外に出ると金髪ピアスの人が送ってくれた。

何で来たの?
と聞いてきたので、
今度は「相手がよく来ている場所だから」
と答えた。



どんな場所なのかこの目で確かめたかった。
そして、
そこにいる女の子の立場になることで、
こんなものか、
とおもいたかった。

少しは旦那のことが理解できるかと思ったから。




正直なところ
劇的になにかが変わったとは思わない。




けれど、
このようなお店がたくさん存在し、
それだけ需要があるということは事実である。