■とある絵師■
がっつり、美術をやっている人がいる。
その人は、絵を書くときに時々僕の撮った嫁の写真をモチーフにしてくれる。
そのアートな彼女が、僕の個展を見るためにわざわざ山梨から来廊してくれた。


僕は人を撮るとき、ありのままを撮りたいと思ってる。
例えば、「より楽しそうに撮ろう」とかじゃなく、もしその楽しさが10だったら、10のまま。
10のものを12にしようとか、15にしようとか、そういうのはおこがましくて好きじゃない。

良い悪いは別にして、僕はある時からそうやって写真を撮り続けている。

彼女がそれを感じ取って僕たちの写真をモチーフに選んでもくれた事がとても嬉しい。
メールやSNSで思いを伝えるだけでなく、はるばる来てくれる事、僕は強く彼女の気持ちを感じることができた。


自分が創る何かが、遠いどこかで誰かに影響を与えて、さらに何かが生まれる。
こんな風に、想いを伝える力こそ、アートの力なんだとしみじみ思った。
自分のアートの可能性を、ほんの少し実感できた出来事だった。


ありがとう。ありがとう。







 



■コロイドが紡いだ絆■

1st写真集「コロイド」を発売した時に、複数冊購入してくれた人が何人かいた。
以前、そのうちの一人の女性に直接話を聞く機会があったので、買った本をどうするのか尋ねたところ、「自分にとって大切な人にプレゼントしたいんです」と言ってくれた。

ありがたい事だなぁとしみじみ思った。


コロイドの発売から時間が経ち、今回の個展を迎えた。


その子は遠方に在住なのに、僕の個展にも足を運んでくれた。
来廊予定日、体調が悪かったようだが、どうしても合わせたい人がいるとのことで無理して来廊してくれた。

合わせたい人とは、以前は居なかったその子にとっての大切な人だった。
そして、「以前お話した通り、コロイドをこの人にプレゼントしたんですよ」と教えてくれた。
とても嬉しかった。三人でひとしきり話した。

遠距離の二人は、お互いの部屋に飾る為に同じ写真を1枚ずつ購入してお互いにプレゼントしあっていた。
今後はコロイドと一緒に、その新しい写真が二人をつなぐ絆になるのだろう。


自分の手を離れて、写真が誰かの心の支えや絆になっている事を実感して、とても充実した気持ちになった。
そして、心から「ありがたい事だなぁ」と感じた。








 


体験だけが実感を生み、実感こそが原動力を産む。
これからも、脳ミソで作品を作らずに、想いを込めて写真を撮っていきたいと思った。

忘れないように、僕の心と、このblogに想いを刻む僕でした。








1st 写真集「コロイド」 → こちら
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