☆窒素と水素を鉄系触媒を用いて高温高圧下で反応させる
★窒素と水素を鉄系触媒を用いて高温高圧下で反応させる
N2+3H2→2NH3
たとえば、ベンゼンに鉄を触媒として塩素を反応させるとクロロベンゼンが生成されますが、反応式内にFeは出てきません。(正の)触媒は反応時の活性化エネルギーを低くして反応をおこしやすくする物質です。→の上などに記載される場合もありますが、反応式そのものに加える必要はありません。
アンモニアは化学肥料などに利用されますが、現代人の体を構成する窒素の約半分は上記製法、ハーバー・ボッシュ法で生み出されたアンモニアに由来しています。
N2+3H2⇔2NH3+Q
ところでこの反応(右向きの反応)は発熱反応です(Q>0)。ここでルシャトリエの原理を復習しておきます。ルシャトリエの原理は加えた変化をやわらげる方向に平衡が移動するというものでした。
1.温度を下げる
温度を下げると、温度が下がるのをやわらげる方向に平衡が移動します。このため発熱反応の方向、右向きに平衡が進みNH3の生成量は増加します。
2.圧力を高くする
圧力を高くすると、圧力が高くなるのをやわらげる方向に平衡が移動します。圧力は運動している気体の分子が衝突することによって生じているので気体の分子数が減少すると圧力が減少することになります。左が1+3=4モル、右が2モルなので圧力が低くなる方向、分子数が減る方向つまり右方向に平衡が進みます。
低温・高圧にすれば右向きに平衡が進みNH3の生成量は増加します。が、だからといって低温にすると反応速度が遅くなり過ぎ実用的でありません。
<平衡定数とエントロピー(発展的事項)>
体積2Vの容器を薄い板で隔てて、一方には圧力2P,体積Vの気体、一方は真空(圧力0、体積V)状態とする。*
薄い板を取り去ると気体は拡散し圧力P、体積2Vとなる。**
*の状態に比べて**の状態はエントロピーSは大きい。
物理化学的変化は一般に、自然に放置するとエネルギーの小さな方向に、エントロピーは大きな方向に進む。
上記ではエネルギーは*、**で変化はないが、エントロピーは後者の方が大きく、エントロピーの大きな方向に、密から疎となる方向に、自然に進んだことになる。
自由エネルギー(U+PV-TS)が小さくなる方向に進む。
内部エネルギーUが小さくなる方向に、エントロピーSが大きくなる方向に進む。
ちらばり具合、乱雑度を示すエントロピーがなぜエネルギーと関連するのか。上記の例でいえば、*から**の過程においてうまく工夫すれば熱を吸収して仕事ができるからである。(ΔQ=TΔS)
このように熱力学的な要素まで考慮すると化学エネルギーの変化だけでなく、自由エネルギーの変化分ΔG仕事ができるということである。ATPがADPになることによる自由エネルギーの減少分、何か他のエネルギーの必要な化学反応を進めることができるということである。
とはいっても、化学反応は自由エネルギーが少ない方向に完全に進むというものではない。平衡状態におちつく。
化学反応では、反応によっていままでなかった反応後の物質が出現又は増加し、いままであった反応前の物質が消失又は減少する。反応の進行度によって、それぞれの物質量は変化し、それぞれの分圧も変化する。反応の進行度によって、反応前、反応後の物質すべての自由エネルギーの総和は変化し、その最小値、自由エネルギーの最小値をとる点こそが平衡状態である。ΔG=∫VΔP=∫nRT/PΔP=nRTlnP=nRTln((n/V)RT)などとするとわかるように、n/Vは濃度であるから平衡定数で現れる[Cx]nの由来が示唆される。
平衡定数K=[CNH3]2/[CN2]1[CH2]3
ただし、温度によって平衡定数は変化する。
温度が一定で、たとえば圧力が2倍になるとそれぞれのn/Vは2倍となって22/2・23となり分母が分子に比べて大きくなりNH3の生成量が増える方向に反応が進む。