+3H→2NH+Q・・・①

上記反応は発熱反応であり、右に反応が進むと+Qの熱を発生します。ルシャトリエの原理によると、温度を高くすると左向きに反応が進み、温度を低くすると右向きに反応が進みます。

また圧力を高くすると、反応前が1+3=4モル、反応後が2モルと右に反応が進むとモル数が減り圧力が減るため、右向きに反応が進みます。

(正の)触媒を使うと活性化エネルギーが下がり、両方向ともに反応が生じやすくなります。また、温度を上げるとエネルギーの大きな分子が増え、活性化エネルギーを超えやすくなり、両方向ともに反応が生じやすくなります。

反応式①においては、低温では反応が乏しく、高温にすると平衡は左向きに偏るのですが、両方向ともに反応頻度が増え、実際にアンモニアを生成するためには温度を高くする必要があります。

なお、反応式①は、反応前のエネルギー値よりも反応後のエネルギー値がQ小さいということを表しています。何もしなくても速さに違いはあれ発熱する方向に反応が進んでいきます。

自発的な反応は、エネルギーの低い方向に、また乱雑さ(無秩序さ)が増大する方向に進もうとする性質があります。

反応式①においては、右の方が乱雑さ(無秩序さ)が低いため、乱雑さが増える方向は左向きです。

反応後エネルギー値が減少する発熱反応であるため、乱雑さの減る右向きにでも反応が進もうとします。ただあまり高い温度にすると自発的には右に進まなくなります。

 

2NaHCO→NaCO+CO+HO-Q・・・②

といった吸熱反応では、乱雑さの増える方向は右向きです。反応後エネルギー値が増加する吸熱反応であるものの、乱雑さの増える右向きに反応が進もうとします。ただあまり低い温度にすると自発的には右に進まなくなります。

*平衡

上記のような反応の場合、窒素1モルと水素3モルとで反応を起こしたとして(アンモニアは0モル)、反応後窒素も、水素も0モル、アンモニアが2モルと完全に反応が進むわけではありません。例えば、窒素0.25モル、水素0.75モル、(窒素0.75モルと水素2.25モルだけ反応して)アンモニア1.5モルといった状態で反応が止まってみえる状態となっていたりします。右に進もうとする反応と左に進もうとする反応がつりあっている状態ともいえます。これを平衡状態といいます。

 

(以下は熱力学の知識が必要です。(自由エネルギーはQと同じ意味ではないことの説明含む))

自由エネルギー変化というものがあり、ΔH-TΔSと表せます。

反応による発熱量QはΔH(反応前後による体積変化に伴う外からされた仕事等の影響も考慮)に関係しており、一般に発熱反応の場合ΔHは負、Tは絶対温度、反応①では右に進むと乱雑さは減るためΔSも負。自由エネルギー変化が負の時自発的に反応が進むとされており、温度が低い時はTが小さくΔH-TΔSは負となりますが、温度をあまり高くしていくと負でなくなってしまい反応が自発的には進まなくなってしまいます。

反応②では吸熱反応であるためΔHは正。右に進むと乱雑さは増えるためΔSも正。自由エネルギー変化が負の時自発的に反応が進むとされており、温度が高い時はTが大きくΔH-TΔSは負となりますが、温度を下げていくと負でなくなってしまい反応が自発的には進まなくなってしまいます。

自由エネルギーは、自由に使うことのできるエネルギーという含意があります。化学的エネルギーの高低差の分すべてが使えるという訳でなく、例えば発熱反応が右に進むためには、TΔS分の熱を外界に放出しなければならず(そうしないと反応が進まない)、実質取り出せるエネルギーは化学的エネルギーの高低差からこれを引いた量になります。(ATP→ADPの反応においてもΔH-TΔSは負)

実生活で例えるならば、何らかの売り上げのためには幾らかコストがかかる、といったことであり、コストの方が売り上げより高くなるような仕事はふつうは自発的には誰も行おうとはしないというような話になります。