別に意図してたわけではないのだけど
先月末に
救いのない映画を続けて観てしまった。
で、これがどちらも印象的だった。
「陸軍残虐物語」
補充兵として召集された犬丸弥七(三國連太郎)。
グズで人が良いもんだからイジメのやり玉に挙げられちゃう。
特に理不尽な制裁をする班長の西村晃。ピッタリです。
三國連太郎の理解者となる中村嘉津雄。
西村晃に取り入ろうとする大学出のお坊ちゃん江原真二郎。
とてもリアルティある作品。
もう、西村晃、江原真二郎にはムカムカのし通しでありますよ。
軍隊の制裁、イジメを見ているのが辛くって腹立たしくって何度か観るのを途中放棄しようかと思った。
しかし、このイヤ~なふたりもやはり戦争の犠牲者なのだと思わざるを得ない。
三國連太郎と中村嘉津雄の脱走シーンには「兵隊やくざ」(勝新太郎)を
糞尿まみれのシーンには「横須賀海軍刑務所」を思い浮かべてしまった。
グズな三國に勝新、若山の破天荒さがあれば
この暗い作品がコメディになるのに、といらぬことを考えてしまった。
まあ、そしてこれ、とにかく芸達者の役者さん揃いなのだが
わけても三國連太郎のグズ、もったり演技が上手すぎて
「三國連太郎という役者」が怖くなってしまったくらいだ。
三國と中村の脱走シーンから回想形式ではじまるこの作品、
佐藤純弥初監督とは凄いなぁ。
「天使のはらわた 赤い教室」
ポルノ雑誌編集者の村木(蟹江敬三)がブルーフィルムで迫真の演技でレイプされる名美(水原ゆう紀)が忘れられなくなるおはなし。
いやいや、自ら日活ロマンポルノを観ておきながら
物語の前半までは女性の性を商品にするモノに対して腹が立って仕方がなかった。
後半からはすれ違う男女、戻れない女の切なく哀しい作品の部分も感じることができたのね。
蟹江敬三の演技、水原ゆう紀の表情、映像、演出が良かったからかもしれない。
しかし、あの、宝塚出身の元清純女優の水原ゆう紀がポルノに出ていたのは知っていたけれども。
いやいやいやいや、ここまでの濡れ場をしているとは驚いた。
その事実がまるで役柄の名美が堕ちていく物語とダブって見えてしまったわ。
ラストシーンの救いのなさがズシンと心にくるのだが。
村木が不倫相手と結婚しながら3年も名美を追っていたというのも
妻にあまりにも失礼な話だ。(ネタばれスミマセン)
名美を愛してるなら結婚するなよ!
名美にしてもここまで堕ちきれるものかと思うのだが
辛い過去を断ち切れない不器用さがタイトルの通り、
ある意味「天使」のような気がしてきた。
この作品自体は良かったのだけれど
日活ロマンポルノは
ストーリー性があっても、もうあまり観たくない気分になってしまった。
気になる作品はあるんだけどね。
必要悪ってものもあるのでしょうが
こういう性を商品にするようなものがあるから
苦しむ女性もいるのだから・・・・
と思ってしまうような話でもあるんですよ、この作品。