出産当日の記憶を頼りに書いています。

いよいよ運命の日がやってきました。でも初めていくBirth Centerなので、建物も駐車場がどこにあるのかもよくわかりません。それでも主人と一緒に出掛けたので、表示通りに進み、無料なのか有料なのかもわからないままでしたが無事駐車。

受付に行くと、ペーパーワークのためのオフィスに案内され、すごく段取り良くペーパーワークが始まりました。やっぱ一般病院と専門病院とでは質が違うのかもしれないなぁ。。。。

受付で聞いたら、ここで出産すると、その家族につき1つ無料パーキングの腕輪が渡されるのだそうです。ペーパーワークは30分もしないうちに段取り良く終わり出産の行われる階へと案内されました。

通されたのは、家族などが待合うエリアでした。喜びで満ち溢れた待合室。「Congratulations!」の声が飛び交っています。義理両親が来るということはわかっていましたが、“私の日本の家族も来てくれたらな。。。”と、ふと寂しく思ったり。

そこから何もしないまま1人で30分くらい待ったでしょうか?(主人は入院用の荷物などの所用を済ませていました。)

やっと名前が呼ばれ、血液検査、血圧、心拍などの手術前の検査を行う小さい部屋へ案内されました。通路を挟んでその向かいには、産後のリカバリールームが並んでいます。カーテンで仕切られたそのリカバリールームからは、生まれたばかりの赤ちゃんの泣き声があちこちから聞こえます。私のいる部屋の真正面からは、若いカップルと双子の小さな赤ちゃんが見えました。

“すごく小さいのに、全身で泣いて一生懸命生きてる…。”
「赤ちゃん」とは良くいったものです。確かに泣いていると全身真っ赤です。
それを見た瞬間から私の中のホルモンに何かが起きたようです。他人の子供なのにその双子ちゃん達を見ていたら涙が止まらなくなっていました。

その後、麻酔科の先生と会って書類にサイン、Dr. Hとも事前に会い、さぁいよいよ。。。
半身麻酔を打っていざ出陣。

手術室は思ったより大きくて清潔な感じ。室温は低めに設定してありちょっと寒いと思いました。私の胸のあたりにカーテンとも呼べないようなチープな布がセットされました。しばらくして医師の1人が麻酔が効いているかテストするため、何か刃物をあてたようです

医師A:「ここ何か痛いとかちくっとした気がした?」

私:「いいえ、全く感じませんでした」

そうしているうちに、誰かが私の隣に座り「Hello」と声をかけてきました。いったい何のドクターだろうと思ったら、宇宙飛行士みたいなジャンプスーツを着て、まぬけなシャンプーキャップをかぶったうちの主人でした。笑。2人で迎える運命の瞬間。どきどきです。

Dr. Hに加えてのもう1人のドクターはやはり女性で50代くらいのDr. W。手術はすごくリラックスしたムードで始まりました。2人とナースは手術しながらオリンピックの話で盛り上がっています。Dr. Wはこの後、オリンピックを見にロンドンに発つとか言っていました。帝王切開なんて彼らには日常茶飯事のオペなので緊張する必要などないのでしょうね。笑。

手術中、ときどき私の体が揺すられました。でもそのカーテンの向こうで今何が起こっているのか想像もつきません。今、お腹を切っているのか、それとももう切り終わって赤ちゃんが顔を出しているのか。。。赤ちゃんを待ち受けるナースが、私達のほうを見て「あと少しよ。もうすぐ赤ちゃんに会えるよ」と、教えてくれました。

“予想以上に早い。まだ20分くらいしか経っていないのに。。。”と、思っていた矢先の事です。

私の下半身が少し持ち上げられ、お腹のあたりかが急にふわっと浮いたように軽くなった気がした瞬間のことです。「オンギャー」という元気が赤ちゃんの声が聞こえました。はっとして待ち受けナースのほうをみると、髪の毛の真っ黒な小さな赤ちゃんが、その診察台に運ばれ、そのナースによってタオルで体を拭かれています。全身を真っ赤にして、元気に全身で両手両足を広げて泣いています。

それを見た瞬間から涙が滝のように流れ落ちました。
(親ばかですが)「He is so beautiful. He is so cute」と主人に語りかけました。「He is so tiny…」と、言う主人の眼もうるうるです。

その小さくて元気な赤ちゃんが、20分前まで私のお腹の中で暴れ、私の膀胱を悩まし続けていたというのが夢のようです。

5年も待ち続けた私の赤ちゃん…

”やっと会えたね…。”

長くなったので、レポの続きは次回へ続く。