「とりあえず、挨拶は後で!、すぐ病院に行ってきなさい!」
中方は地域では比較的老舗の国営メーカーで、敷地内に小さな病院がありました。
通訳のワンさんに連れられ歩いていくと、色とりどりのチョークで中国語や装飾が描かれた大きく長い黒板があり、多くの人がその前で眺め、なんやかやと議論をし、笑いあったりしています。
「一月後に社内の運動会が行われる予定で、そのスケジュールとか........。」
ワンさんはのん気に説明をしてくれますが、私はかゆみと少々の恐怖で耳に入ってきません。
奥へと進むと寮生なのか、キャッキャとはしゃいでいる若い女性たちがおり、その前を通りすぎしばらくすると、やっと病院がありました。
建物はどこも同じ”日干し煉瓦”で出来ているのですが、そこだけ窓枠と扉は木製で白く塗装されており、入り口には”〇〇第3病院と書かれています。
(後から聞いた話では、元々病院は1つしかないようです。。。)
ワンさんに受付をしてもらい、待合室で待つことになりました。
そこには10名程度の患者さんがいて、3~4か所の診察室では診察・診療が行われているようです。これは見てもらうまで結構かかりそうだなと少々がっかりしていると、ワンさんが、
「すぐに見てもらえますよ。受付で話しておきましたから。」
体中のかゆみを我慢して待つこと4~5分ほどで呼ばれました。何人かの患者さんが後をついてきます。先を越されてずるいとかそういうことではなく、この病院に外国人が来たことに興味を抱いているようだとのこと。
診察室にはいるとそこには、一人の白髪交じりで背の高い医者と3人の看護師さんがなぜか微笑みで迎えてくれました。
「何か、虫とか草とか木に触れたししていませんか?」
「いいえ、特にありません。」
「では、何か変わったもの、腐りかけた物とか生の物を食べませんでしたか?」
「いいえ、特に。。。。。。。あっ!」
そうです!夜行列車の食堂で食べた魚のから揚げです!
ふんだんに香辛料が使われていて、傷んでいるかどうかはわかりませんが、そういえば少し生だったような気もします。味はまんざらでもないし、山田さんの手前もあり、取ってきた4枚の内3枚を私が食べました。
早速、血液検査をすると、案の定”傷んだ魚による食中毒であることが判明。すぐに注射をすることになりました。
診察用のベットに腰掛け、待っていると先ほどの看護婦さんの一人~私と同じか少し年上の感じ~が少し太めの注射器をトレーに乗せてやってきました。これは痛そうだな、どちらの腕にしてもらおうか迷っていると、ワンさんがクスクス笑っています。
「横になって、向こうを向いて、ズボンとパンツを降ろしてください。」
仕方なく、言われた通りにし、ぐっと目を閉じていると、あまりにもかゆみが凄すぎたのか、痛みはあまり感じずに注射完了。
「飲み薬と塗り薬を出します。飲むほうは一日3回食後に、塗り薬は適宜で。それでもかゆみが収まらない場合はタオルを濡らして体に巻いてください。1日もすれば治りますよ。」
その日は、そのままホテルに帰り、言われた通り薬を飲み、塗り、体に濡れタオルを巻きました。夜にはかゆみも少し収まり、何とか寝ることができました。しかし、翌朝寒さで目が覚めると咳も出始め熱も上がってきているようです。どうやら、濡れタオルを一日中体に巻き、カゼをひいてしまったようです。
赴任早々、このありさま。この先どうなることでしょうか。
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ちゃぁ