入学式は無事終わり、次は運命のクラス分けだ。
このクラス分け、この高校の場合A〜C組が外部生、D〜F組が内部進学生だ。外部生は一般入試、スポーツ推薦の2パターンで、太陽は一般入試で入って来たので、A組になった。
「このA組で一番の人気者になってやる、そのためには自己紹介で一発かましてやる。」
太陽はこの自己紹介の為の準備は1ヶ月まえから始めていたのだ。
候補として上げていたのは、一発ギャグ、モノマネ、手品、歌う、踊る、脱ぐ‥‥
考えに考えた結果、的外れな結末になることになる事は明らかだ。しかし、太陽は一人で盛り上がるだけ盛り上がってしまった。そして、入学式の1週間前には完璧な自己紹介を仕上げていた。
「1年A組を担任します、若林と言います。皆さんこれから1年よろしく。」
落ち着いた雰囲気の男性教師。50代前半といったところか。声が平泉生に似ている。
平泉は資料を何部が配り終わると、それぞれの資料の説明をしだした。
その時、太陽は平泉の話を一切聞かずに自己紹介のシミレーションをしていた。
「自分の名前が呼ばれる→大きな声で返事→ビートたけし風の駆け足で教卓へ→ビートたけし風な姿勢で、かつビートたけし風の声で『はい、皆さんこんにちは、今日も始まりました、元気が出るテレビ〜、早速行きます、こんな自己紹介は嫌だ、クラス全員が田中邦衛だ‥‥(以下省略)→爆笑の渦→人気者。」
太陽の行き着いた所は、お笑い界のレジェンド、ビートたけしを完コピする事だった。しかもフリップまで作ってから、およそ3分以上はかかる超大作だ。ビートたけしさんの大ファンである太陽は同年代はほどんど、いや、絶対見てないであろう80年90年代の番組が大好きだった。ジェネレーションギャップ?なんて気にせず、太陽はビートたけし一本で自己紹介に臨むのであった。