息子が保育園で気に入り、買ってほしいと言ってきた絵本。
『まっくろネリノ』
私は本を買う時には、必ず中を確認したい。
本屋を訪れ、手に取って、そして気に入ったら購入する。
でもこの絵本は本屋を数軒巡ったが、見つからなかった。
仕方なく、ネットで購入した。
家に絵本が届くと、息子は喜び、
「読んで読んで」
と言う。
絵本嫌いだった息子にも好きな絵本ができたことに喜びながら、読み進めていった。
読み終えると、息子は満足そうにしていた。
そんな息子を見て、私はとても複雑な気持ちになった。
ネリノには色とりどりの兄弟がいた。
まっくろなネリノはいつも仲間外れだった。
そんな時、兄弟が行方不明になった。
きれいな兄弟は捕まってかごの中に入れられていた。
ネリノはまっくろだから、夜に誰にも見つからず、
兄弟を助けた。
そして、それからは仲間に入れてもらえるようになった。
息子はこの絵本を見て、何を思ったのだろう?
自分に重ね合わせていたのだろうか?
それとも、ただ気に入っただけだろうか?
ネリノはまっくろじゃなければ、最初から仲間に入れてもらえていた。
兄弟が捕まっていなければ、今もなお仲間外れだろう。
そして、兄弟は生まれつきの違いで勝手に仲間外れにしておいて、
自分たちにとって役に立てば、仲間に入れる。
私にはどう考えてもハッピーエンドではなかった。
まっくろだって役に立つことがある?
そんなふうには思えなかった。
みんなと同じようにきれいな色に生まれていれば、
最初から仲間外れにならないのだから。
危険を冒してみんなを助けることにもならないのだから。
役になんか立てなくても、当たり前に仲間になれるのだから。
「危険を冒してでも、みんなの役に立てるなら、
みんなと違っても仲間に入れてあげてもいいけど?」
そんな世間の目や声が聞こえてくるようで、
眠った息子を眺めながら、私はとてもつらくなった。