満開の桜を見て「きれい……すてき……」となる人がいるのなら「きれい……こわい……」となる人もいることでしょう。美に対して何を思うかは人それぞれです。


坂口安吾の『桜の森の満開の下』は「きれい……こわい……」と思う側の人のお話です。たぶん……。


私はまだ、自己が揺らぐほどの美に出会っていないので、お話に出てきた山賊にも「ふーん、そうなるのか……」という感じです。

理解が及ばないものに対して、畏れ敬い奉るのか、貶して足蹴にするのか、恐怖のままにぶち壊すのか。

どっちの防衛反応を選ぶのかはその時の自分次第ですが、なるべく穏便な方向に着地したいものです。暴力はいかん。


私は桜の花の下を通る時、上を見上げてキレイだなぁと思うと同時に、毛虫が落ちてきたら嫌だなぁとも思います。

私にとっては、桜の美しさよりも毛虫に対する恐怖の方が上回っているようです。

花よりも虫の方が怖いよねぇ。