できない。のか、しないのか。

というと、どちらかといえば両方。かな。


もともと積極的に行動したり発信したりする方ではない。

どちらかというと少人数でいる。

あるいはグループでいてもひっそりとし、面白さをジワジワ発揮して、少しづつ友だちを作ってきたタイプ。だと母は思っている。



高校入学してから、学校での様子がわからないあまり、わたしは彼のコミュニケーション力を過小評価しており、「友だちできないんじゃないか」と思っていた。

なんなら学校で「笑うことあるの?」ぐらい思っていた。


でも意外とそうでもなくて、新しい生活がはじまってしばらくしたら、部活にも入り仲の良い友だちもできたようすだった。

女の子のお母さんからは「(うちの息子)クンすごくおもしろいんだってねー!」と言われることもあって、(たのしくやれてるんだー)って、ほっと胸をなでおろしたりもした。


パニック障害になったそんな彼。

大学を休学2年目。一浪し、早生まれで23歳。


大学生活は丸々コロナ禍で、2年生までに学校に行った回数はほんの数回。

健康診断と、学生証の交付にいった程度。

サークルには入らなかった(入学したとき無理にでもサークル入っていればよかったのにショボーンともだちなんてサークルなんか入らなくてもできるだろう。おれはともだちは無理に作らないで、ジワジワと作っていくタイプなんだ。って自分でも言ってたけど、いやいやそのジワジワすらする機会もなかった。ほとんど人に接することもなかったよねえーん)。


当時、コロナ禍でなんでもオンラインで、がんばって友だちづくりをしたり、コミュニティに積極的に参加しようとする新入生さんたちは、オンラインでの関係づくりをやっていたのは知っていた。でも(そうできない人もきっとたくさんいるよねー)と思ったし、うちの息子はそこはあえてやらない人だった。


1年後、進級したとき、大学で、「去年入学式ができなかった人のために」という2年生向けの入学式が開催され、せっかくだからと、親子で行ってみた。

なんとなんと。

あちこちでグループができて、楽しそうにしている学生さんたちの多いこと。というか、ひとりでいる人はほとんどいなかった。


(あー出遅れてたんだな。少しがんばってはじめに友だちづくりしておけばこれからの学校生活の不安が少し減っていたかもしれないな)って、正直思った。


そんなわけで、大学で友だちなんてひとりもできなかったと思われる。


本人にとっても、親にとっても、

思い描いた大学生活では一切なかった。


バイトや友人との会話や、人間関係づくり。

学食でご飯を食べたり、学校の近くの安くて美味しい定食屋さんでご飯を食べたり、恋愛したり、もしかしたら短期留学なんかもしてみたり。

旅行に行ったり。

就活も。


若い季節の、1番自由でキラキラしてる時代に体験するいろんなことを全部諦めることになってしまった。

たくさんの経験をこれからするんだって思っていた矢先のコロナ禍。からのパニック症。

こんなこと言っても考えても仕方ないってわかってる。

既に大学を卒業し、就職している同級生と比べる必要なんかないとも頭ではわかってる。


でもでもやっぱり思ってしまう。

ぜんぜん受け入れられてないんだな。


若いうちにしか感じられない感性で、もっともっと、ささいなことでもなんでも経験して欲しかった。体験して欲しかった。経験させてやりたかった。