タイミングの良いニュースだ。
DVというのは、受けた側にしか分からない。
自分はそんなつもりではなかったといくら言っても関係無い。
あくまでも受けた側の感覚なのだ。
DVは長期に渡って行われる事が多い。
逃れられないと信じる妻子は、延々と耐え続ける。
やがてPTSDとなって、心の奥底に閉じ込める。
自分は平気。 そう思おうとする。
うちの父は超エリートだった。
自分で言うのも変だが、日本の高度成長期の一翼を担っていた人間だった。
私は父の経歴を誇りに思う。
だが、父は、家庭では酷かった。
母を殴り、子供を殴り、軟禁状態が続いた時も有った。
私は言った。暴力反対と。
だが、柔道をかじった父は言った。
手加減しているだろう。 どこも折れていないじゃないか。 生意気言うな。
そういう問題なのか?
世間を知らない、親を頼るしかない弱い立場の私は黙るしかなかった。
愛が有るから体罰をするんだ。
そんな嘘、信じるものか。
自分の激情をコントロール出来ないだけじゃないか。
冷静に話す、静かに諭す、余裕が無いだけじゃないか。
これは苦しんだ者にしか分からない。
私は、父の病気を知り、父も普通の人間だったんだと知る事が出来た。
父の死を迎え、弱い部分も有ったんだと受け入れる事が出来た。
だが、犬達は違う。
自分達が先に死ぬ。
ニンゲン達の凶暴さを静かに受け止めながら、ニンゲンの暴力に慣れ、適当に流すようになり、ひたすら嵐の過ぎ去るのを待つ知恵を付けるしか生き延びる術が無い。
たった十数年しか生きない従順な小動物たちに、そんな思いをさせる意味があるのか。
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女はなぜ暴力“DV”夫と別れない?
藤原紀香、冨永愛、沢田亜矢子。この3人に共通しているのが、うそかまことかドメスティックバイオレンス(DV)で離婚したというウワサだ。紀香は左手の小指の爪をはがされ、冨永は土下座させられたという。
DVに泣かされている女性は少なくない。内閣府が20歳以上の女性1675人に実施した調査では、配偶者からのDVが「何度もあった」は10.8%、「1、2度あった」は22.4%の計33.2%にのぼる。
ところが、これら被害者のうち配偶者と別れた人はわずか4%しかいないのだ。なぜなのか?
結婚問題に詳しい作家・池内ひろ美氏が言う。
「被害女性が離婚に踏み切れない理由は、(1)離婚後の経済的不安(2)世間体(3)夫との『共依存』の3点。このうち最も多いのが共依存です。これは夫と妻が互いに依存し合うことで、妻は殴る蹴るされても“私がいないとこの人はダメになる”と思って夫を許してしまう。妻は暴力夫の世話をすることに生きがいを見いだし、それが優しさだと勘違いするのです」
池内氏によると、暴力夫にはDVのサイクルがあり、妻を殴って気分がスッキリしたら泣いて謝る。しばらくは優しい状態(ハネムーン期と呼ぶ)が続くが、ストレスがたまる“緊張形成期”を経てまた爆発。これを繰り返す。意外にも酒乱の男は少ないという。
「DV夫は医師や公務員などインテリ層が多い。彼らは妻が自分から逃げないよう計算しながら暴力を振るいます。私のカウンセリング経験からいえば、DV被害者の8割は離婚したほうが幸せになれます」(池内氏)
世の中には進んで不幸になる女性がいるということか……。
(日刊ゲンダイ2009年4月7日掲載)