マダムが亡くなった…


マダムとは私が働く職場のお客様で初めて会った時から怒らせたら面倒くさそうなクセスゴなおばあちゃんだ。


昔、銀座でホステスをやっていたらしくいつもおしゃれには気を抜かないお酒が大好きなおばあちゃん。


面倒くさいけどその容姿は可愛らしくて褒めると嬉しそうにコーディネートを自慢してくる。

おばあちゃんだけど…おばあちゃんではない


なのでマダムと呼んでいた。心の中で…


病院に行く時も朝4時から起きてメイク、ヘアー、そしてオムツを完璧にしてから出かけるマダム。


昔バブリーな時に稼いだお金で母親の為に家を建てたマダム。


酒やけでしゃがれた声でマダムの生き様…を聞かせてくれた。

銀座時代の写真を嬉しそうに見せてくれた。


マダムのすっげぇ〜な〜ってとこ


今でも忘れない事…


マダムが帰る時、あたしにちょっと見てて

「あたし、真っすぐ歩いてる?」

「傾いてない?」

「キレイに歩いてる?」


って‥


小柄なマダムはそう言ってあたしに歩き方をチェックさせて


「うん!大丈夫ですよ。キレイに歩けてますよ〜」

「今日も可愛いですよ〜」


って…


腰とか膝とか悪くなってヨタヨタ歩いてる自分が許せないらしく、家の中を一日何万歩も歩いてるらしい…(えっ?外じゃないんかーい??)って心の中でツッコんだのは確か(笑)


でも…

プロですよ

あなたは、ホステスの花です。

死ぬまで…

あなたは…


死ぬ時はどんな死に方だったのでしょう?

美しい花が散る様に

召されたのだと思います。


あなたのそのプロ根性あたしはしっかりと見ました。聞きました。感じました。


マダムの様にはいかないけど…


あたしも自分の弱いとこに負けないように

しっかりと生きてゆきますね。

あたしも沢山歩こう!

パーキンソンになんて負けてらんない!


マダムの可愛らしいプリプリおしりを振って歩く後ろ姿忘れないよ!


御冥福をお祈り申し上げます。