そして私はやるつもりのなかった抗ガン剤を受ける決意をしました。
告知を受けてから1ヶ月半が経っても、毎晩毎晩睡眠薬無しでは眠れない夜、一人になっては涙する日々。
1mm足りとも自分の病気を受け入れる事は出来ませんでした。
まさか自分が抗ガン剤をする事になるなんて。
この私が病気にかかるなんて…
一年経つ今でもまだ信じられませんが。
29歳、未婚。
まだまだ外見にこだわりのある年齢。
病気になって残り少ない命だと知った時、私は何を一番重要視して生きてきたのかを考えました。
『ファッション、旅行、マラソン』
それなのに抗ガン剤だなんて…。
わかっています。
こんな事、命と天秤にかけられる訳ありません!
それでも当時の私はこれらが出来ないのなら延命する意味がないと思っていたのです。
両親や兄弟には申し訳ないですが、生きる希望を捨てていました。
そんな私が抗ガン剤を受ける事になった理由は
激しい脱毛が無いことでした。
正常な細胞も傷付けてしまう抗ガン剤、
しかも私の癌には効果が期待出来ないと言われていたのですが
髪の毛が抜けにくいのなら…
嫌になればすぐに止めればいい…
というたったこれだけの理由でとりあえず試してみようと思ったのです。