いよいよ、手術当日です。

手術前に、説明を受けていました。

実は左にも腫瘍が出来ていた事。
この時までは良性と判断されていた為、

右は卵巣ごと摘出しても左は腫瘍も小さい為、腫瘍のみ取り除き、温存するとの事でした。


針が怖く、点滴や注射だけでも倒れてしまう大人気ない私が初めて身体にメスを入れる…
怖くてたまりませんでしたが良性の結果を聞いた私は元の生活に戻る事をただただ心待ちにしていました。


麻酔の注射が打たれてから3秒も経たず私は眠りにつきました。











目が覚めた時は視界もボヤけており、会話も出来なかったので日付や時間は覚えてません。


覚えている事は、可哀想に…と見つめる父と私の手を握ってくれる暖かい母の姿。

そして尋常でない苦しみでした。


その時は初めての経験だったので知る由もありませんでしたが、後から聞くと、あの時誰も悪性を予知しておらず手術が難航した為に手術後の回復が大変だったそうです。


それから数日は今までに経験した事のない苦しみを経験しながらも、手術が終わった安堵感と少しづつ回復していく様子が楽しみでなりませんでした。


そこには完全に安心しきった幸せな私と、現実を知り暗闇の中にいる家族がいました。


私は何にも知りませんでした。