『おいしいごはんが食べられますように』高瀬隼子


今日は芥川賞と直木賞の選考日だったそうで、今回はともに二作が受賞したそうです。

本当にまったくの偶然ですが、今回の読書記録は前回の芥川賞受賞作です。


タイトルから連想するのとまったく違う内容だということは話題になっていたので知っていましたが、確かにタイトルから連想するほのぼの感みたいなのは皆無でした。


不穏、と表現されている感想を多く見ました。読んでみると確かに不穏…なんかちょっとイヤな感じがずっと漂っている感じと言えばいいのか。


とある会社の3人の社員がメインキャラクター。

体が弱いからという理由で大変な仕事などが暗黙の了解で免除されている女性社員の芦川さん。

それが気に入らない女性社員の押尾さん。

基本的に食べることにまったく興味がなく、何を考えてるかよくわからない男性社員の二谷さん。


二谷さんは実は芦川さんタイプの女性が好みで二人は密かに付き合っていて、それに薄々気づいている押尾さんが二谷さんに対して「二人で芦川さんにイジワルしませんか」ともちかける。


押尾さん二谷さんが語る感じで進むのでこの二人の気持ちや考えはわかるのですが、芦川さんが本当は何を考え思っていたのかがまるでわからないのが不気味といえば不気味でした。


読んでいていまどきそんな人や会社あるかな?と思う気持ちもありつつ、日本の会社ってこういう同調圧力すごいしな、と納得したりもして。


本作が本当に伝えたかったのが何か、というのはイマイチわからないのですが、多様性なのかなぁ、と。


食べることが楽しいとか、みんなで食べるとおいしい、とか言いがちですが、みんながみんなそう思わないといけないというのはおかしいんだなということかなあと。


すごく薄いのであっという間に読めました。図書館で確か200人以上待ちで借りたのに、待ち時間に反比例するかのように読書時間は短かったです泣き笑い