なんと切ない映画だろう。
ベッドに横たわる若く美しい女性。
どんな楽しい夢を見ているのか。
朝起きたらどんな表情で「おはよう」と言うのか。
しかし、彼女は目覚めない。
事故で昏睡状態に陥っているからだ。
彼女を介護する男性職員は
まるで慈しむように髪を洗い、肌の手入れをし、
その間中、決して返事をすることのない彼女にやさしく語りかけ続ける。
4年間に及ぶ彼の親身な介護によって彼女は若さを保ち続け、
まるで健康な女性のように見えるのだった。
しかし、彼の一挙手一投足からは
自分の仕事に誇りを持ったプロの熟練さとはまた違う何かが垣間見える。
彼は患者さんとしてではなく、
彼女を一人の女性として愛しているのだ。
その愛情が見るものを驚愕させる展開となって表れる。
そして、
別の部屋では怪我を負ったもう一人の女性を見守る恋人がいた。
動けない2人の女性を愛する2人の男性が心を通わせ始める。
こんな愛の形があるのかと驚くと同時に、
自分が愛されていると気づかないことが
しあわせな場合もあるのだと思った。
2002 スペイン
監督:ペドロ・アルモドバル
出演:レオノール・ワトリング、ハビエル・カマラ、ダリオ・グランディネッティ、ロサリオ・フローレス