別れてしばらくすると自分が彼女にとった非道な態度が事あるごとに浮かんで来て、罪悪感とか恥ずかしさに苦しめられ、謝りたい一心で、だけど別れてから連絡取るのもおかしいよな?って思ってしまって何も言えずにいた。

 

 ごめんね、許してねって言いたかったし、出来る事なら復縁したいって気持ちも無いって言ったら嘘になるんだけど、13歳差の事とか考えると、どうせ成就しないなら早い内に別れた方がお互いの為だとも思って自分を納得させたりしていた。せめてもの償いとして、LINEのステータスメッセージに英語で「ありがとう、元気でお幸せにね」的な意味の言葉を載せてみたりした。

 そんな彼女と別れて1年程経ってから、近況報告の連絡がたまに来るようになった。
 最初は他愛もないやり取りしていたのだが、そのうちお金を貸してくれって言ってくるようになった。一番最初は一万円。こっちも彼女に酷い事をした罪悪感があるので、貸してあげた。で、その一万円の返済前にケータイ払えないから2万円、財布と定期券落としたから3万円、みたいな感じで次々と言って来るようになった。毎月給料日に一万円ずつ返済するので、と。

 毎回、「ちゃんと返すんだよ?お金返さないと友達無くすからね?」って言って貸してあげてて、一番大きい時は一度に10万円貸した事もあった。結局、全部で30万円位貸して、返済は最初の2回の2万円だけ。

 最後に連絡あったのも一万円貸してくださいってLINEだった。
 私は「今までの分も返して貰ってないからもう貸せないよ。今までの返してくれたら貸してあげる」って言ってるのに、しつこくメッセージしてきてLINE通話も何回も掛かって来た。最後の方は全部シカトしてたけど、最後のLINEは1行で「今月末に必ず返します」だった。
 それが去年の11月頃で、それからは連絡無くて、私も貸したお金は諦めてたから連絡もしてなかった。むしろ、私が彼女にした意地悪の罪悪感が、借金を踏み倒される事で幾分か軽減されるならそれでも良いと思っていたのだ。

 昨日、何気なくLINEの友達一覧を見ていたら、その彼女が「メンバーがいません。」になっている事に気付いた。5月の6日に退出していたようだ。
 「メンバーがいません。」それを見て、もう2度と彼女に連絡取れなくなった寂しさを感じ、結局最後までちゃんと謝れなかった事を後悔し、せめて彼女の幸せを陰ながら祈ろうと思ったのであった。