先日面接した方とは、フェードアウト完成だと思っていたが、昨日その方から通話したいとLINEが来た。

 戸惑いながらも通話をする。
 
 用件は、フェードアウトなら相互ブロックして欲しいとの事。
 彼女は短い間ながらも今までのやり取りに謝意を示してくれた上で、ブロックしなければ連絡を期待してしまうので、どうかブロックして欲しいと言う。

 私は自分の気持ちが分からない、分からないのに関係を続けるのは違う気がすると言って、フェードアウトを否定しなかった。
 
 私は、自分が悪者になりたくないから嘘をついたのだ。正直に好みのタイプではないからとは、言えなかった。婚活はもう辞める積もりなんです、などとも言った。

 その後いろいろとお話して、相互ブロックはしない事になって、お別れだけど、もし何かあったら猫を預かるし、猫の緊張連絡カードに私の連絡先を書いて良い、とまで言ってくれた。

 私は、彼女の器の大きさに胸を打たれて、ありがとうございます、としか言えなかった。
 黙って、こそこそフェードアウトしようとした男に正々堂々と対して、その不誠実な男に助力まで申し出てくれたのだ。
 人間の「格」と言うか「品位」で言えば、彼女の圧勝だろう。

 それで、たまには猫の画像送って下さいねって言われて通話は終了したが、少し気持ちが混乱していた。

 しばらくして、私は大きな魚を逃してしまったような気持を感じ始めたのである。