またひとつ思い出したストーリーを。
【真夜中のタンデムツー vs アベニール】
中学時代に好きだった子がいた。
まぁ、誰にでもよくある話だと思うけど
大抵が高校への進学で進路が違えば自然に薄れていくもんだ。
おれの場合もそれに当てはまっていて
高校へ進めば、進んだ先に新たに憧れが発生した。
そんな中だったんだけど、中学の時に好きだった子と
一番初めに中免をとった友達がいつの間にか付き合っていて
その日の夜にタンデムで海までツーリングに行くって話を聞いた。
今思うと、なんか変態じみていて、ストーカーみたいで気持ち悪いことしたと
猛烈に反省してるんだけど
10代のおれにはそんなことを考える事ができずに
ただただ、興味が湧いて、幼なじみを後ろに乗せて
前に書いた二人が行っているであろう海へ
真夜中のタンデムツーに出かけた。
夜の静寂の中、自分と幼なじみを乗せたバイクのエキゾーストだけが響きわたっていた。
夜のツーリングってのもなかなかいいもんだなぁなんて思いながら、目的地の海岸を目指した。
途中、コンビニに寄ったりしながら目的地に到着。
目的の二人が乗ってきたバイクはそこにあった。
まずは身を潜めて、遠くから二人の様子を窺う。
と、ここでおれ、なんかこれは間違ったことをしているなと強く思った。
居るっていうことを知らせずに、こうしていることがアホくさくなって。
二人に声をかけて、帰ることにした。
結局何しにきたのかわかんなかったけど、ここまでの道のりも楽しかったし。
まぁいっか!
振り回された幼なじみにしたら迷惑だったかも。。。
さて、青春を楽しむ二人を残して、帰路につく。
ゆるやかに、しっかりと。
帰路の後半に、川沿いの幾分細かなコーナーが連続した区間がある。
ここで前に1台の車。
当時、何故か若干流行っていた?アベニールだった。
色は白。
それまでのペースでは、すぐに後ろに追いついてしまった。
あんまりプレッシャーをかけるのは良くないと、少し離れて様子を窺う。
ましてや、今日はタンデムだし、無理なんか出来る状態じゃなかった。
このアベニールはたぶん、無理したと思う。
あからさまにペースを上げだした。
お、なんかスムーズな流れに戻ってきたな。
そのくらいの気持ちでペースに追従する。
でも、コーナーは遅い。
立ち上がりもいくらこっちがタンデムでも遅い。
たまらず追い抜いた。
その後は明らかに向こうが頭にきている様子が見えた。
センターラインを割り始めるし、なんかますます余裕が無さそう。
まぁ、気にせず走る。
けど、どこまでも追いかけてくるんだね。
でもなんだろな、プレリュードの時みたいな鬼気迫る感じはなかった。
とにかく、おれ自身が楽しめていた。
引き離し過ぎないようにしてみたり、直線で一気に加速してみたり。
気づけばおれらは家のそばまで来ていて
アベニールもどこの人だか知らないけど、付いて来てた。
きっと、つられて知らないとこまで来てしまってるだろうなと思った。
どうやって終わりにしたか覚えてないけど
なんか楽しかったんで、クラクションで合図してじゃあね~って終わったと思う。
そっから、幼なじみの家に帰り、こたつで寝た。
これで終わりのたいして面白くもない話です。
でも、この幼なじみ、それから数年して、車の事故で死んじゃいました。
こいつはバイクにいかなくて、車の走り屋を目指してました。
自分の命を守る術が、足りなかったんだろうと思います。
あの夜の出来事を、現実の世界で覚えているのは自分だけになってしまった。
すんごく楽しくもないけど、でも大事な思い出の一つです。
車もバイクも、死んだらいけない。殺してもいけない。
それは当たり前の大前提です。
今、幼なじみはバイクで走るおれを見てどう思っているんだろう?
幼なじみの存在は目に見えないけど、おれを守ってくれている存在の一つであると
日々感じています。