茶道での正座に戸惑われたら | 銀座の茶道体験教室 茶禅のブログ

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東銀座駅から徒歩1分、歌舞伎座隣のビルに茶室を構え、初心者の方が楽しめる本格的な茶道体験教室を運営しています。
茶道にまつわるささやかなお話を投稿していきます。オンライン茶道レッスン企画中。

こんにちは。茶道体験の銀座 茶禅です。
今日は4月25日。
二十四節気の「穀雨(こくう)」、七十二候の「次候 霜止出苗(しもやんでなえいず)」にあたります。

茶禅の茶道体験には日本人だけでなく海外からのお客様も多いのですが、先ず最初に戸惑われるのが「正座」です。
「どのように座ればよいのですか?」「正座する必要がありますか?」とほぼ全てのお客様からご質問を受けます。元々畳に座る習慣が無いのでこのご質問は自然ですね。

茶道体験にいらした外国人のお客様。正座でお茶を点ててくださいました。でもやはりお辛かったのではないでしょうか。


「楽に座ってくださいね」と申し上げるのですが、折角だから一度正座をしてみたい!」と皆様一度はトライされますが、やはりすぐに足が痛くなり、正座がお辛い方には男性はあぐらで、女性はあぐらというわけにはいかないので横座り等、足を少し横にずらしてお座りになられています。

最近では日本人も、生活の中で正座をする機会がめっきり減ってしまいました。

では正座が出来ないと茶道に参加できないのかとご心配になるのではないでしょうか。
そんなことはありません。


茶道=必ず正座 という訳ではないのです


そもそも、茶道の完成者として有名な千利休は常に正座をしていたわけでもないようです。



長谷川等伯画 利休居士像(七尾商工会議所観光委員会のサイトへ)

この絵を見ると、あぐらをかいていますね。
当時は武士がお茶をたしなむ時代。時代劇を見ていても正式な場でもみんなあぐらをかいて座っています。
亭主としてお茶を点てる際は正座をしていたのでしょうが、お客は皆あぐらだったのでしょうね。

武道では礼儀として正座をして臨むものが多く、このことからも、茶道=正座 ではなく道の道(どうのみち)の礼儀として正座をするという考
え方なのが分かります。

茶禅にお越しくださるお客様には、海外の方でも日本人の方でも、お点前を始める前に「お楽に座ってくださいね」とお声がけをさせていただいております。


座って行う茶道、「立礼(りゅうれい)式」


正座を全くしない茶道のスタイルがあります。
テーブルと椅子を使う、立礼式というものです。
明治時代後期に海外の要人を招いて日本の技術力や伝統をお披露目した「京都博覧会」。
この際に海外の方にお茶を差し上げるのに、正座ではなく椅子に座って出来るように、裏千家11代家元の玄々斎が立礼式を考案しました。
茶道は広くたくさんの人に開かれているべきである、というお茶の精神が、歴史からも見てとることができますね。

立礼席は様々な美術館での呈茶で使われてもいます。(現在は営業自粛中です)

京都の野村美術館 立礼茶席(野村美術館のサイトへ)



佐川美術館の樂吉左衞門館にある立礼茶席(佐川美術館のサイトへ)


正座の時に足が痛くなりにくいコツがあります


正座ではなくてもお茶の体験は出来ますが、茶道を習う人はやはり正座でお稽古をされています。でも痺れたり足が痛くなるのは皆同じ。少々コツを学んでうまく座っていらっしゃいます。


正座で痺れにくくするコツ
・身体の重心を少し前におく
 正座をしていると大抵足の甲が痛くなります。足の甲に負担をかけないため少し身体の重心を前におくことで負担が軽減されます。

・左右の親指を重ねて足をクロスするようにする。
 個人差がありますが、自分にとって丁度良い位置を探ってみることで負担が軽減されます。

・膝の間を少し開ける。
 両膝の間隔を少し開けるだけも痺れにくくなります。
 因みに裏千家では、着物の時は女性はこぶし1つ分ほど膝の間を開けて座ります。
   
・少し痛くなってきたら、身体の重心を左右前後に移動する
 負担のかかる場所を順番交代にします。

・座布団や正座用の小椅子を使う。
 座布団の上に座る際、足の先を座布団から少し出すとかなり楽になります。
 正座用の小椅子は、足に直接体重が乗らないのでかなり楽になります。

・痺れにくい服装を選ぶ
 最も痺れやすいのはジーンズ、デニム類のぴたっと足にフィットして生地の固いものです。
 柔らかい生地のもので、ズボンならばワイドタイプのものを、スカートならタイトでないものは足の血管を圧迫しにくいので痺れにくくなります。 
 
など、少しの工夫で足の負担を軽減させることができます。


大事なのは正座ではなく、「亭主と客がお互いを尊重する心」

最初に述べましたが、お茶の席では正座でいなければいけないわけではありません。

海外からいらっしゃるお客様はいつも日本の文化を尊重してくださいます。
お言葉や笑顔、そしてご自分なりに最大限の丁寧な振る舞いをしてくださることでそれは伝わってきます。

茶道が大事にしているのは、亭主(ホスト)とお客様がお互いを尊重する心であり、
その心を所作で表現しています。

そんな茶道ならではのコミュニケーションの世界を是非皆様にもご体験いただければと思います。

 

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茶禅ではオンライン茶道レッスンを開催しております。

●開催日(各回30分間)
4月26日(日) 14:00~
4月28日(火) 12:30~、 14:00~、 19:30~
●参加料金

500円(税込)

●定員
各回10名様

詳細はこちらをご覧ください。

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