『明主のその臣を導制する所は二柄のみ』
―明主之導制其臣、二柄而已矣―
<韓非子>
「導制」は、コントロールする、使いこなす。「二柄」は、二つの柄(ハンドル)。したがって、すぐれたトップは二つの柄を握っているだけで部下を使いこなす。という意味になる。では、「二つの柄」とは何か。『韓非子』によればこうである。
「二つの柄とは、刑と徳である。では、刑徳とは、何か?刑とは罰を加えること、徳とは賞を与えることだ。部下というのは罰を恐れ賞を喜ぶのが常である。だから、トップが罰と賞の二つの権限を握っていれば、ふるえあがらせたり、てなづけたりして、思いのままにあやつることができる」
信賞必罰で臨むこと、これが部下を使いこなす鍵だ、というのである。
『韓非子』はさらに、つぎのようにダメを押している。
「殺されたり、実権を失ったトップは、賞罰の権限を二つとも部下に奪われていた。こんな状態で身を滅ぼさなかったトップは、昔から一人もいたためしがないのである」
守屋 洋 (著)
文庫: 409ページ
出版社: PHP研究所 (1987/12)
ISBN-10: 4569563805
ISBN-13: 978-4569563800
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