『水清ければ大魚なし』
―水清無大魚―
<後漢書>
「水清ければ魚すまず」という。むかしから中国では、たとえば 「水至って清ければ則ち魚なし」とか、「水清ければ大魚なし」など同じようなことばが諺のように使われていたらしい。
後漢の時代に、西域の経略に活躍した班超という人物がいる。この人が任を終えて帰国した時、後任者から西域経営の心構えを問われて、こう語ったという。
「なにぶんにも西域は異民族の地、これを帰服させるのは容易なことではない。見たところ、君の性格は厳しすぎる。水清ければ大魚なし、というではないか。あまりにもきびしい態度で臨めば、地元の人々の支持を失ってしまう。それゆえ、できるだけ寛容な態度で臨み、小過は許して大綱だけを押さえるようにつとめるがよい」
細かいことにまで目くじらを立てるようでは、人々の支持は得られない。これは、人間関係、組織管理に共通する鉄則である。
守屋 洋 (著)
文庫: 409ページ
出版社: PHP研究所 (1987/12)
ISBN-10: 4569563805
ISBN-13: 978-4569563800
Amazon.co.jpで詳細を確認する