『智は禍を免(まぬが)るるを貴ぶ』
―智貴免禍―
<三国志>
知謀、知略など、 「智」 という言葉から連想されるのは、すばらしい頭の冴えであり、切れる人物のイメージである。たしかに、それには違いないのだが、しかし、ほんものの 「智」 とは、派手に目立つようなものではないようだ。たとえば、倒産しそうな会社を立て直したというような誰にでもそれとわかる 「智」 は、智は智でも、レベルの低い 「智」 であるらしい。
それを語っているのが表題のことばである。 「智」 の重要な働きは、禍を免れることにあるというのだ。つまり、倒産会社を立て直すよりも、会社を倒産の危機に至らしめないように経営する、これこそが、ほんものの 「智」なのだという。
だから、こういう 「智」 は大向こうをうならせるようなものではなく、ありようとしては極めて地味なのだ。組織のリーダーに必要とされるのは、じつはこういう 「智」 なのである。
守屋 洋 (著)
文庫: 409ページ
出版社: PHP研究所 (1987/12)
ISBN-10: 4569563805
ISBN-13: 978-4569563800
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