『鶏肋(けいろく)』

―鶏肋―


 

<三国志>

たいして役に立たないが捨てるには惜しい、そういうものを 「鶏肋」という。いまでも自分の文集などに、「鶏肋集」などと名づけることがある。この言葉の出典は、『三国志』で、 「乱世の奸雄」と称された魏の曹操にまつわるエピソードである。

 

曹操が劉備の守る漢中に攻め込んだときのことだ。このときは劉備側の守りが固く、めずらしく曹操の軍が苦戦に陥った。すると曹操は、参謀連中を集めてたった一言。“鶏肋だ! ”と語ったという。

 

だが、かれらにはそれが何を意味するか理解できなかった。その中で一人だけ、さっさと撤退の準備を始めた者がいた。皆がわけを聞くと、こう答えたという。

 

「鶏肋、つまり鶏のガラというのは、捨てるにはもったいないが、そんなに肉はついていない。これは撤退だと、ピンときたよ。」

 

これは見込みがないと見極めるや即座に撤退の決断を下す。それが曹操という人の強さの秘訣でもあった。

 

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  守屋 洋 (著)
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