『奇貨居くべし』

―奇貨可居―

 

<史記>

「掘り出し物だ、仕入れておこう」という意味。「このチャンス、逃がしてなるものか」といったニュアンスでも使われる。

 

秦の始皇帝がまだ秦王の時代、その相国(宰相)として権威を振るったのが、呂不韋(りょふい)という人物である。この人は当時としては珍しく商人の 出身であった。若い頃、たまたま商用で趙の都、邯鄲(かんたん)に行ったとき、子楚(しそ)という秦の王子を見かける。子楚は王子ではあったが妾腹(しょ うふく)の子であったことから冷遇され、趙に人質に出されていた。なにしろ人質、暮らしぶりも楽ではなかった。そういう子楚の境遇を聞いて呂不韋のもらし たのが、この「奇貨居くべし」であったという。

 

呂不韋は全財産をはたいて子楚の擁立に賭け、首尾よく成功させる。ちなみに子楚の子が秦王 政で、のちの秦の始皇帝であった。

 

呂不韋のようにチャンスを見逃さず、すばやく行動に移す。これが人生の運命を分けるようだ。

 

茶臼山古墳的 日々是好日-t02200304_0376052011084550423  中国古典一日一言 (PHP文庫 モ 1-4) [文庫]

  守屋 洋 (著)
  文庫: 409ページ
  出版社: PHP研究所 (1987/12)
  ISBN-10: 4569563805

  ISBN-13: 978-4569563800