『大行は細謹(さいきん)を顧みず、大礼は小譲(しょうじょう)を辞せず』
―大行不顧細謹、大礼不辞小譲―
<史記>
「大行」とは、大きな仕事、「細謹」とは、細事を謹むこと。「小譲」は、小さな謙譲。二つ合わせて、「大事を前にしては小事にこだわる必要がない」という意味になり、決断を促すときに使われる。
劉邦が秦の都、咸陽(かんよう)に入城したときのこと。遅れをとった項羽は劉邦に向かって怒りを爆発させ、総攻撃の準備にかかった。急を知った劉邦はみずから項羽の参謀の范増(はんぞう)に命をねらわれるが、ひとまずその場はおさまって酒宴となった。
劉邦は手洗いに立ったのを潮(しお)に、そのまま帰陣しようとする。が、項羽に暇乞いしてこなかったのが気にかかる。そのとき、お供の燓噲(はんかい)がこの言葉を引いて…
「いまの我々は俎上(そじょう)の魚も同然。命が危ないというのに、なんで挨拶などいりましょうか」と言って決断を促した。
※ 史上有名な「鴻門の会 」のひとこまである。
守屋 洋 (著)
文庫: 409ページ
出版社: PHP研究所 (1987/12)
ISBN-10: 4569563805
ISBN-13: 978-4569563800
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