労神明為一、而不知其同也、謂之朝三。
(荘子、斉物論篇 第二)

神明を労して一を為しながら、其の同じきを知らず、之を朝三と謂う。

今回の言葉は荘子の言葉です。
「いろいろと精神を疲れさせて同じことを繰り返しながら、それが同じことだと
気づかないでいる。これを朝三という。」

「朝三暮四」の語源ですね。

お猿さんにえさを与えるとき、朝三つ夕方四つあげようというと、お猿は怒った。
では、朝四つ夕方三つあげようというと皆喜んだ。

この猿と同じことは人間もやっています。
小さい子供はまず引っかかります。
目先の四つに目がくらみます。
格安スマホのセールで大人も引っかかります。
スマホ本体の料金や通信料金を最初の3か月を激安にする。それに目を奪われ契約する。
しかし、2年の契約継続が義務付けられ、その間に得した分は帳消しになる。
相手は儲けを見込んで商売する会社です。
スマホ本体を激安にしても、その後の通信料金で元と儲けをとればいいわけです。
定年後の就労も、「朝三暮四」ですね。
就労することで収入があるのは、目先のえさ。
収入があることで税金が増え、しかも年金が減額や至急停止になるのは、暮れのしっぺ返し。
トータルでみると支出の方が増え、働かない方がお得という場合もあります。
政府が薦める定年後の就労は、政府にとって、税金と社会保険料という収入が増え、年金という支出が減る、一挙両得の「朝三暮四」政策です。
政府にとって、国民は「お猿さん」です。
自分が「朝三」になっていないか反省させる言葉でした。

有無相生