『ただ有道者のみ能く患(わざわい)をいまだ形(あらわ)れざるに備う』
―惟有道者、能備患於未形也―
<管子>
「有道者」とは、すばらしい徳と能力をもった人物である。この場合は立派な指導者といった意味。そういう人物であってこそ、はじめて禍を未然に防ぐことができるのだという。その理由として『管子』は、つぎの二点をあげている。
一、時宜を得た対策を立てるので、常に大事に至らない。
一、公平無私な態度で臨むので、広く部下の支持を集めることができる。
その逆は、こうである。「指導者が優柔不断であれば、その政策は常に後手をひく。物欲ばかり旺盛なら、人心をつかめない。無能な人間を信頼したのでは、心ある部下から見限られてしまう」
これでは、禍を未然に防ぐことはできないのだという。現代でも、当てはまる部分が多い。
リーダーたる者、組織の安泰をはかろうとするなら、まず、みずからの徳と能力を磨け、ということだ。
守屋 洋 (著)
文庫: 409ページ
出版社: PHP研究所 (1987/12)
ISBN-10: 4569563805
ISBN-13: 978-4569563800
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