『太上(たいじょう)は下これあるを知る』

―太上、下知有之―

 

 

 

<老子>

『老子』は指導者のランクを四等級に分類している。

 

「太上は下これあるを知る。その次は親しみてこれを誉む。その次はこれを畏る。その下はこれを侮る」。

これを最低のランクから並べると、

 

一、部下からバカにされる指導者

一、部下から恐れられる指導者

一、部下から敬愛される指導者

 

そして最も理想的な指導者(太上)は、「下これあるを知る」である。

 

「下」とは部下。部下から見て、上にそれらしい人物が坐っていることは承知しているが、それ以上でも、それ以下でもない、そんなあり方が理想的なのだという。もう少し具体的に言うと、こうである。

 

「立派な指導者は、弁解も宣伝もしない。素晴らしい業績をあげても、それが彼の働きだとは認識されないのだ」

 

してみると、「あれは彼の功績だ」などと吹聴されるようでは、まだ理想の在り方から遠いのかもしれない。

 

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  守屋 洋 (著)
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