『富は足ることを知るに在り』
-富在知足-


 

<説苑>

どんなにお金をため資産をふやしたところで、これで十分だということはないらしい。できれば、もつとふやしたいと、誰もが願っている。だから、ふやすことによっては本人の満足感は得られない。

そういう意味で、「富」 というのは、本人が満足したところにあるという指摘は、十分な説得力を持っている。 

『韓非子』 に、こんな話が載っている。

あるとき、斉の国の垣公(かんこう)という王様が宰相の管仲に向かって、 「富には限界があるものだろうか」 と訊ねたところ、こんな答が返ってきたという。

「水の限界は水のなくなるところ、富の限界は、それに満足するところにあります。しかし、人間は満足することを知らず、ついに身を滅ぼしてしまいます。あるいは、これが限界かもしれません」

 「富」 を追求するのもいいが、それによって身を滅ぼすような愚かさだけは避けてほしいものだ。 

 

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  守屋 洋 (著)
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  出版社: PHP研究所 (1987/12)
  ISBN-10: 4569563805
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