『花は半開を看て、酒は微酔に飲む』
―花看半開、酒飲微酔―
<菜根譚>
花を観賞するなら五分咲きのころ、酒を飲むならホロ酔い機嫌のあたりでやめておく。酔っぱらってヘドを吐くような飲み方は最低だというもの。
『菜根譚』はこう語った後で、つぎのようなコメントをつけ加えている。
「盈満(えいまん)を履(ふ)む者は、よろしくこれを思うべし」
満ち足りた境遇にある人は、このことをよく考えてほしいというのだ。つまりこの一句は、花の見方や酒の飲み方を語りながら、じつは人生の生き方を説こうとしているのだ。
なんでも思い通りになる満ち足りた境遇は、往々にして人をダメにする。傲慢になったり、変に意固地になったりして、かえって人から嫌われることが多い。 むろん、したいことも十分にできないような、あまりにも不自由な境遇でも困る。ホドホドがよいということだ。恵まれた人でも、一つや二つ、思いどおりにな らないことをかかえていたほうがよいのかもしれない。
守屋 洋 (著)
文庫: 409ページ
出版社: PHP研究所 (1987/12)
ISBN-10: 4569563805
ISBN-13: 978-4569563800
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