『天下に忌諱(きき)多くして、民いよいよ貧し』
―天下多忌諱、而民彌貧―

 

                         

<老子>

あれもダメ、これもダメと、禁令のたぐいが増えればふえるほど、人民の生活はいよいよ貧しくなるのだという。管理や締め付けを厳しくすれば、社会全体が 息苦しくなり、人々の創造性も社会の活力も失われてしまう。その結果、生活水準も思うように向上しない。これは、一部社会主義国の現実を見れば、肯(うな づ)ける面が少なくない。

『老子』の主張を野球にたとえれば、管理野球がこれに近いかもしれない。チーム・プレーを重視し、一人ひとりの私生活にまで干渉するので、選手の個性を殺してしまう。だから、管理野球は、見ていて面白くない。

『老子』は、こうも語っている。

「技術が進めば進むほど社会は乱れ、人間の知恵が増せば増すほど、不幸な事件が絶えず。法令が整えば整うほど、犯罪者がふえてくる」

※ 『老子』のこのような主張は、現在の管理社会の現実に鋭く反省を迫ってくるのである。

 

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