映画 『愛を読むひと』 | 映画 本 そして コーヒー

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映画と本 そして コーヒー-愛を読むひと




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1958年のドイツ、15歳のマイケルは21歳も年上のハンナと恋に落ちる。
しかし、その恋は長くは続かず、ある日、突然、彼女は姿を消してしまう・・・
それから数年後、大学生になったマイケルは、彼女と法廷で再会することになる。
彼女は、ナチスの強制収容所で看守として働いていたというのだ!

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ベルンハルト・シュリンクのベストセラー『朗読者』の映画化です。
第2次世界大戦前後のドイツを舞台に、戦前生まれのハンナと戦後生まれのマイケル、
二人の長い年月を超えた愛が描かれています。
非常に深い作品です。『 愛を読むひと 』、是非、ご覧ください。


この作品を見る前に知っておいていただきたいことがあります。
第2次世界大戦後のドイツでは、戦争責任は全てナチスによるものであり、
一般的なドイツ人も被害者である、という認識が徹底されています。
逆に言えば、ナチスに少しでも協力した人間は、全て悪である、これが前提です。

以下、かなりネタバレ含みますので、この作品を未観の方は、気をつけてください。

映画『 愛を読むひと 』、非常に素晴らしい作品でした。
この作品は、大きく分けて3部から構成されています。
第1部での伏線が、次第に絡みあってゆき、物語の核心へと繋がってゆくのですが、
結論が明確にあるわけでもなく、観客へ問いかけるような結末を迎えます。

この作品で一番印象に残っているのは、マイケルの葛藤です。
ハンナとの愛と正義の間で悩み続ける姿は、
どうすれば良いのか?どうしたら良いと思う?と問いかけているようでした。
マイケルの葛藤の原因は、ハンナが抱える2つの秘密にあったと思います。
1つ目は、「文盲」であること、2つ目は、ナチスの収容所で看守をしていたこと。
「文盲」に関しては、マイケルは気づいていたとおもいますが、
ナチスに関わっていたことは、再開する法廷まで気づいていませんでした。

法廷の場で、彼女は、罪が重くなるにもかかわらず、文盲であることを隠します。
文盲であることを知っているマイケルとすれば、そのことを告げれば
彼女の罪は軽くすることはできるものの、彼女のプライドを傷つけることになる・・・
また、彼女は、生きるためとはいえ、ナチスに手を貸していた・・・
どうすれば良いのか・・・こういった状況の中で、彼は、葛藤します。
そして、再び、彼女の朗読者になることにするんですよね。
この部分、自分ならどうしただろう、と何度も思いましたよ。
自分なら、完全に関係を絶っていたかもしれません。

その後、マイケルとハンナは、朗読で再び結ばれます。
しかし、以前と違ってハンナに変化が見られます。
そして、迎える結末・・・ みなさん、どのように思いましたか?
最後の会話、もう以前のように戻れないことを悟ったのか、
自分の過去を償ったのか、それとも・・・
この部分は、この作品を見た方が、それぞれに思うことだと思います。
みなさんは、どのように感じたでしょうか?

この作品は、本当に本を読んでいるような感覚です。
まさに、行間を読むことが必要とされます。
非常に深い作品ですので、是非、ご覧ください。
長文、失礼しました。









映画 『 愛を読むひと 』のオフィシャルサイトはこちらです。

監督 : スティーヴン・ダルドリー
脚本 : デヴィッド・ヘア
出演 : ケイト・ウィンスレット / レイフ・ファインズ / デヴィッド・クロス / レナ・オリン





こちらが原作です。


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