悪夢のような一夜が明け、
ようやく正常な意識を取り戻した俺は
(と、なぜかハードボイルドのような書き出しになってしまいましたが)
まだ、わずかに残る痛みと戦いながら、
わが身の無事を安堵しておりました。
「今日は内視鏡の検査をしますから、
何も飲まず食わずでいてね~。」
検査なのになんで飲まず食わずなんだ?
言ったよね、確かに今、検査って言ったよね。
俺のつたない語学力でもはっきり検査と確認しました。
後にそれがとんでもないことになろうとは、
そのときは微塵も疑っていない俺でした。
昨日で治療は終わったのに、検査なんてもういらないのになあ。
などと思いつつ待つこと1日、結局夜になってしまいました。
つまり、まる一日飲まず食わず。
さすがに、腹が減ると気が短くなります。
どの道、痛みと吐き気で何も食べられなかったのですが。
夜にはってやっと看護婦が迎えに来ました。
「じゃあ、これに着替えてね」
って、これ手術着やんけ!
検査なのに、ずいぶん大げさだなあ。
ストレッチャーが来て仰向けに乗せられ病院の廊下を運ばれます。
頭上を流れる天井灯、
おおっ!この風景は、
「ベンケーシー」だっ
(知らねーだろうなあ。アメリカの人気ドラマのオープニングシーン)
手術室の無影灯、覗き込む医者
「私がドクター○○です。あなたの手術を担当します。
安心してお任せください。」
ううっ、かっこいい
やっと、まともなヤツが現れた。
アシスタントの作業もまるで救命救急24時
テキパキ作業はまさしくプロフェッショナルです。
なんだ、やればできるんじゃん。
と安心したのもつかの間
「ところで、麻酔しますか~?」
するにきまっとるやろ。昨日で懲りてますから。
「もちろん、してください」
「なんで?」
「・・・・?」
なんで、なんで?なんて聞くの?
ここは、何で?って聞くシチェーションじゃないでしょ。
「なんで?」
薄笑いを浮かべてしつこく聞いてきます。
アカン、コイツもだめだぁ。
なすすべも無く薄れゆく意識の中で
暗闇へと落ちて行くのでありました。
奈落の底でいったい何がおきるのか
不安を抱えつつ次回へ。