2021年に膵臓がんでなくなった山本文緒さんの「無人島のふたり」を読んだ。
最近本は全然読んでいなくて、たまに読んだとしてもほぼミステリー系だったので久しぶりに違うジャンルの本を読むことになった。
この本を読んだきっかけは、久しぶりにお会いした方からおすすめとして借りたこと。
これと併せて借りたもう一冊が、また人生を考えさせる重みのある本なんだけど、、、それはまた別に書こうと思う。
余命◯ヶ月と宣告されて、、といった本は読んだ後悲しくなってしまうので避けていたけれど、読み終わった感想としては、生きることに対してぐっと背中を押してもらえた気がしている。
今朝読み始め、病院の待合時間や電車の中で読んでいたら夕方には読み切ってしまった。
酷く取り乱すこともなく(実際にはあったかもしれないが)文章からは、自分がどうというよりも家族や周囲の方、これまでお世話になった人たちへの配慮や感謝がとても伝わってきた。
誰かに会うたび、これが最後になるだろうと思いながら会うことや、自分が想定していた死期が想像よりはるかに早く来てしまったことへの戸惑い、進行していく病気やひどくなる症状…悔いはないけれど、かといってこのままは嫌だ…!
当事者でなければ理解することは難しいけれど、それでも病気を通して「生きる」ということは何なのか、今の私の頭では考えられない切り口で教えてくれた。
今、自分自身も人生の岐路に立っていて、様々な選択肢が目の前にある。
迷っていてなかなか決断できず、そんな自分にうんざりしていたけれど、選べるということだけでもいいじゃないか。
体も動くし食べられて、寝ることができる。
つい、あれがないこれがないと不満ばかり並べてしまうけど、人生は今の積み重ねだから、少しでも自分が自分の人生に満足できるようにしていきたい。
それは自分にしかできない。
そんなことを考えながら、まずは目の前の一杯のコーヒーを、目をつむってしっかり味わいたい。