オペレッタの舞台に出演。 | ♪ IN MY LIFE ♪〜ドイツ・フランクフルトの窓辺から〜

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ドイツ生活早数年。
楽しく奮闘しております。
メゾソプラノ歌手です。

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12月2日はオペレッタの舞台でした。

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演目はヨハンシュトラウス2世の『Waldmeister』(ヴァルトマイスター)

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ヴァルトマイスターとはドイツではおなじみのハーブ。
緑色のグミやゼリー、シロップなどに使われています。
日本語だと『くるまば草』というらしい。
日本じゃ全然馴染みがないけれど。
最近、さくらもちの香り付けに使われているって聞いてびっくりした!!!
 


あの匂い、私好きじゃん!!!!!


 
ってなわけで本物のヴァルトマイスターをこのオペレッタの舞台本番の日に
初めて見て初めて匂いをかいだんだけど(こんなに物珍しげに見てたの私ぐらい。)
確かにさくらもちっぽかった。
 
あれから緑色のゼリーとか、よく食べます。美味しいです。
 
 
んで!
このオペレッタは
ザクセン王国の小村の住民たちが、
ヴァルトマイスター(日本語だとクルマバソウ)の煎じ出しを飲む効能について悩む物語なのです。  

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↑ウ〝ァルトマイスターにモーゼルワインを混ぜて媚薬のお茶を作るの図。

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↑それを飲んで酔っ払うの図。(笑)

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鳥かごの中にはウ"ァルトマイスター↑

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↑ここに詳細載ってます。



 
日本ではぜんっぜん有名じゃないこのオペレッタ。
ヨハンシュトラウス2世というと日本だと『こうもり』。
もっと突っ込んだところで『ジプシー男爵』が知る人ぞ知るというところかな・・・

とにかく私も見たことなかった!!

 
 
まぁ『ヴァルトマイスター序曲』って感じでウィーンフィルのニューイヤーコンサートで
たまに序曲だけは演奏されたりするんだけど、





とにかく全幕通しての上演というのは非常に珍しい。(世界的にも!)
100年ぐらい上演されてないという噂もある!!(っつっても私がドイツ語で流し聞きしただけだから
本当かどうか怪しいけど。)
 
ってなわけで、


 
ウィーンからヨハンシュトラウス協会の人が観にきたり
私の歌の師匠がいつの間にかテレビのニュースに出演していて
大々的に宣伝してたり

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⬇︎私の先生がいつの間にかテレビに!(笑)↑

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(←フリー○イソンだから繋がりがどこにでもあるっぽい。けど、テレビにも出ててビックリ!!というか笑った!!!)


 
そんなこともあって当日は満席。

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友達も席がなくて立ち見だったというからあらびっくりです。

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長らく上演されなかった理由にきっと、
確かに時代を感じるあれこれが登場する。
たとえばおなごたちがテニスをするシーンがあるんだけど(この時代にテニスってのが日本人のあたしからすればあらびっくりなんですけど!!!!)
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テニスなんて破廉恥だと言ってお役所のお偉いさんたちに(村人には暴君と呼ばれてたが。)
邪魔されたり。

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狩りのシーンがあったり、
たとえば粉引きの水車小屋のシーンがあったり。  

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↑顔に小麦粉をつけている。

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でも、現代の私たちが見ると斬新で面白いかも、というシーンがもりだくさん。
 
衣装もフィガロの結婚のようなロココではなく、
19世紀の近代の女性ファッション。
 
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私はどことなく韓国人のチマチョゴリみたいな着回しになっているけれど。。。
(生粋の日本人なのにーーーー!!!)
 
 
 
 
こんな舞台に
私もちょこっとだけ出演。
しかもドイツ語で台詞あり。これがキツかった。

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お客様は99.9999999%ドイツ人。

日本人なんて一人もいない中で、ドイツ語で何回もしゃべらなくてはいけない。
しかも周りのキャストはものすごーく芸達者。


ドイツ語で台詞を喋らなくてはいけない状況は、はっきり言って歌うよりもつらくて
大変だった。
 
 
しかもDVDとかYou Tubeにどこにもこの演目の動画がないんです。
(ウィーンフィルの演奏だけ。)
たとえばこうもりのオルロフスキーやフィガロの結婚のケルビーノ、
ばらの騎士のオクタヴィアンは一流のオペラ歌手たちの動画がたくさんネット上にあるから
簡単に見ることが出来るし様子を知ることが出来る。
なんなら真似ればいい。  
日本語字幕もいっぱい。
 
ところがこのオペレッタは日本語字幕はどこにもないわ
動画は落ちてないわで、渡されたドイツ語のテキストで
私の演じるキャラクターはどんな人物で、どんな心境でどんな感情で
どんなテンションで表現するのかを自分で探らなくてはならない。
 
これは本当の本当に大変で、
最初は失敗とダメダメな出来栄えの連続だった。
 
去年もマニアックな演目でよく分からんチョイ役で出演したけど
(エキセントリックに叫んで怖がって歌うというw)
去年の演出家のやることを真似すればよかった。
むしろ、演出家の3倍大げさにやったら褒められた。
 
それが今年の演出家はすばらしい人だったけれど、
冷静なテンションで、自分でやってみせるよりも、言葉で語って説明するひとだった。
(それがまた超難しくて、しょっちゅうとんちんかんなことをやっていた私。悔しい。)
 
これがまたまた、自分で探って見つけ出さなきゃいけなくて
本当に本当に大変だった。
 
 
手を抜いてへたくそに演じても良かったぐらい、ちょっとした役だけど、
みんなが熱演しているその横で私一人だけ浮くような演技をしたら、
そこだけが汚点になってしまう。それは恥ずかしい。それだけはだめだ。
そんなことをしたら出演者やお客さん全員をがっかりさせてしまうし、
私自身の信頼貯金も減る。
 
そんな恐々な状況の中、
実は7月頃からプレッシャーで泣き叫んで降板したいぐらいやめたい状況の中
やってたんだけど(実は先生にやめたいと7月頃伝え、先生はその晩一睡もできなかったという事件も起こしたw)



 
やっぱり舞台は私を救ってくれる。
 
 


なんと本番は一番パーフェクトにうまくいきましたよ。
 


あんなにダメダメだったのによくぞここまでやったなと周りに褒めてもらったぐらい。
確かにこれだけの伸びしろは大人になってなかなかないよなと自分でも思うほど
このダメだったときと本番の落差が激しいwww
 
 
 
当日は楽屋でも早く終わってほしい、早く解放されたい、
この楽屋の雰囲気ももういややーーーーー!!!ってなってたんですけど(笑)
舞台上では本当に伸び伸びと自由だった。
舞台上は孤独で怖いところだと昔先生に言われたけれど、
 
今の私には舞台はやっぱり友達だ。
というか、自分自身を解放してくれるところだ。
 
 
ドイツ語の台詞を必死に覚えて、必死に口に出しただけではない。
ドイツ人的な響き方、声の高さ、大きさ、体の使い方、
もっといえば脳みその使い方!?すら徹底的に変えた。
 
覚えたところで、練習中、稽古中は何度もとちって大変だった。
家ではあんなにスラスラ言えてたのに。
演技をしようとしたり、誰かのアドリブが入るとぱっと頭から消えてしまう。
 
おまけに、日本人にはドイツ語の発音綺麗だね、とたまに言ってもらうことはあっ
ドイツ人の中で歌ったり、台詞を喋ったりすると、
何を言ってるか全然わからないとみんなに集中攻撃された。
日本愛好家なドイツ人たちは日本人のドイツ語に寛容だけど、
ここには日本に興味があるとか日本大好きとか、日本語勉強してます的な
ドイツ人は1人もいない。
ドイツ人が真剣に、ドイツコミュニティの中で、大好きな歌で輝こうとしている場。
国際交流なんて図ってる場合じゃないんです、彼らも。
 
だからこそ大変だったんだけど、
とある練習方法を発見して、ああ!小脳で喋ればいいんだ(意味不明ですけど。)
と気付いてからは、劇的に変わり、とちることもなければ演技まで自然に見えるし
声もよく通るとすら言われたwww
 
今までの私は日本の英語教育の影響で、
大脳で言語をとらえていたのですね。
というか、多くの日本人が、英語、ドイツ語が堪能だといっても、
そうやって喋っている気がします。
 
だから私は今回のこの教訓を生かしてドイツ語の勉強の新しい方法を編み出しておるww
 
 
ま、そんなこんなで大変だったこの舞台。
やっぱり思ったことはドイツ語。ここですね。
日常会話とか、日本語を学びたいドイツ人の友達と楽しく会話、とか、
そういうレベルじゃない。
なんなら現在仕事でビジネス上ドイツ語使うこと多いですけど。
そんなレベルでもない。
なぜならビジネスならまだ、こちらが日本人だという考慮が見える。
 
 
だけど、本当の本当にドイツ人社会で生きていくには、
ここにいるときみたいに闘わなくてはいけない、主張しなくてはいけない、
アピールしなくてはいけない、社交的でなくてはいけない、もっと密に打ち合わせできなければいけないのです。
20年以上ドイツ語だけで生きてきた周りのひとたちと同じような感覚で。
 
 
そう思うとプロとして外国の劇場で頑張っている日本人の歌手の人たち
本当に大変だな。そして強いな。すごいな。
私にはそこまでのメンタリティがないなと改めて思う。
(まず気力が無い。)
 
だけど来年のプロジェクト(本当はもう降りようと思っていた)が既に始動し始めた。
もうつらいの一言。(笑)
本当にもう成長とかそういうのいらないからやめさせてほしいぐらい嫌だ。
昨日までそう考えていた。
 
だけど・・・あと1年だけ、ほんとにあと1年、様子をみようかなって思ってる。
 
 

 

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 そんなことを痛感し尽くした、

今回の舞台だった。


 

 



 

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