作・演出 蓬莱竜太
夏彦(津村知与支)は40代前半の引きこもり、この生活がずっと続き、ある日突然終わりが来る・・・そんなことを漠然と思っていたが、自宅の火事でいやおう無く両親、弟(古山憲太郎)と離れ、銚子で和カフェを営む叔父夫婦の離れに住むことになってしまった。
自分の考えを押し付けてくる口やかましい叔父淳二(菅原大吉)、何くれと無く世話をやいてくれるその妻の衣子(吉岡あきこ)、夏彦に対してピリピリとして辛く当たる娘の佐子(生越千晴)、従業員の無口な高倉(西條義将)、役者をしていたという沢田(小椋毅)、親しげに接してくるりく(成田亜佑美)らと関わらざるえない新生活が始まった・・・・それぞれの人間関係、それぞれの抱えた鬱屈が彼に刺激を与えるし、彼らの停滞していた人間関係が動き始める・・・それはどこに向かうのか、人は変われるのか、世界は美しいのか・・・・。
必要最低限のセット、可動式な敷きっぱなしの布団スペース、とても広く取られた空間は、登場人物たちの心の空虚感、人間関係の距離感・・・そんなものを感じました。そして、敷きっぱなしの布団スペースだけが、妙に生々しく人間の体臭を感じます。
上から落ちてくるように聞こえるピアノの音色も印象的でした。とても寂しいし、とても優しい。
行き場の無い気持がポロポロあたりにこぼれ落ちるような気もしました。
ひとり、ひとりの心情が丁寧に描かれていて、主観的に観れたり、客観的に観れたりと舞台全体をしっかりと捉えることができます。誰の中にも弱さ、酷さがあることをあらためて思い、自分の中にあるのと同じものを見つけて、いつもながら私の心をチリチリとさせる蓬莱さんです。
相手が変わってしまったのではなくて、自分が相手を変えてしまったのかも・・・・は、ハッとしました。
娘と母の関係の冷たさにも心が痛みました。まさに両親の鏡・・・彼女のエゴを嫌だなと思いながら、このエゴはまさに現代だ!と思いました。
衣子さんが包丁を持って追いかけるシーンは、秀逸でした。真正面に観ていたので、その夜うなされました![]()
必死な夏彦には笑ってしまいましたが。
あの演出は素晴らしい!!!
夏彦の弟の善さんが、一番良い人だったな。
気が弱そうだけども本音がちらりと見える優しさがとても好感が持てました。
舞台にいる一人、一人がとても自然に感じ、多面的に感じ、ものすごく良かったです。
これからもきっと色々あるだろうけど、夏彦・善兄弟に幸あれ!と思ったラストでした。
素晴らしい舞台をありがとうございました!!!
