作・演出 歌森ろば
音楽・演奏 鈴木光介
芸術監督 流山児祥
1974年、北海道白老町で、町長が若い男に刺されました。
犯人はアイヌだと名乗っていましたが、本州から来た運動家だということがわかります。
でも、彼はどうしても自分はアイヌだと言って譲らないのです。
17世紀のアイヌの部族・メナクシルとシュクムルのいざこざに絡む松前藩の物語を中心に21世紀のススキノまで登場して、日本の歴史から、表舞台から消し去られてしまったアイヌ民族を描いた作品です。
客席に入ると劇場の空間を目いっぱい広く取り、流木を荒く組んだようなセットが目に入ります。物語が進んでくると、流木のような木と足場のようなセットが荒涼とした大地、岩場の多い森の道、素朴な彼らの生活の場などに見え、すごく効果的でした。
プロローグがすごい衝撃的で、いきなり迫力ある殺陣シーンから始まります。
うわ~~と思いながら、よく見ていると、戦いの中に時代の流れがありました。役者さんたち、すごい!!!
力尽きるまで戦い、力尽きるまで守ろうとしてきた彼らの生活・・・・そんなことを感じました。
どの時代においても、異端の者であった人物を演じた田島亮さんがすごく良かったです。
義経、文四郎、八木原を見事に演じ分けていました。
義経のどこか気品漂う身勝手さ、文四郎の怜悧な異端者、八木原の狂気をはらんだ正義・・・どれも私には理解できない・・・・特に町長を刺した八木原の理解しているようで、実はアイヌの人たちを理解していない独りよがりの正義は怖かったです。
この物語には、アイヌの民族としての誇りとともに人間としての弱さ、醜さ、そして尊さも描かれていたと思います。
悲しいかな美しい心の持ち主には、この世は生きにくいのかもしれない・・・。
チャレンカの山本莉奈さんの声がとても美しくて、彼女が歌うと涼やかな風が吹き、緑の葉がさざめくような気がしました。
一人で様々な音楽を奏でた鈴木光介さんも素晴らしかったです。
この舞台を観て、本当に良かったです。
素晴らしい舞台を、ありがとうございました。