電子書籍市場における2月上旬の大きなニュースとしてまず第一に挙げられるのは、メディア大手の米News Corporationと米Appleが2月2日(現地時間)にリリースしたiPad専用のデジタル日刊新聞アプリ「The Daily」でしょう。Appleの新たな定期購読サービスを利用したこのアプリについては、筆者もインプレッション記事を書かせていただきました。

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 2週間ほどThe Dailyを読んでみた筆者の印象では、最初は新鮮だったこともあって熟読できたのですが、だんだんと読むのがつらくなってきたというのが正直なところです。厳選された記事であるとはいえ、1日に100ページ近く配信されてくるThe Dailyを読むのはかなりの時間を要しますし、ゴシップなど筆者があまり必要としないような話題も多いのも好きになれないところです。また、目次に相当するものがないことなどもあって「読まされている」感を持ってしまうのですが、同じようなことを考える人もいるようで、「The Daily: Indexed」のような目次的に使えるサイトが有志によって作成されていました。総じて言えば、もうしばらくは様子見というのが筆者の見解です。

 そして、米国時間の2月15日には、The Dailyに用いられている定期購読サービスが一般にも開放され、アプリ開発者はApp Store内で販売するコンテンツに対し、価格とサブスクリプションの継続期間(週、月、隔月、3カ月、6カ月、1年)が設定できるようになりました。Appleの手数料はこれまで通り30%です。

 新聞や雑誌を手掛けるパブリッシャーからすれば、この定期購読サービスが利用できるようになったことで、紙への興味を失いつつあるユーザーを新規読者として獲得できる機会が得られることになりますが、もろ手を挙げて歓迎とはいかないようです。

 これは、前回お伝えしたように、SonyがiPhone向けに提供しようとしていた電子書籍リーダーアプリがApp Storeで却下された辺りからくすぶっている話ですが、Appleが提供する課金方式が常に優遇される課金形態を採用せよ、というルールが厳格に施行される方向になりつつあるためです。

 同じビューワを使い回し、中のコンテンツが異なるタイプの電子書籍アプリはApp Storeで却下される方向になっているのは業界の中ではよく知られたところですが、ストア型のアプリについてもAppleの意向に沿わないものを排除する動きが顕在化しています。

 これまでも、アプリから外部のサイトに飛ばし、そこで課金する方法でコンテンツを販売していたパブリッシャーは存在していましたが、今後はアプリ内にそうした外部課金につながるリンクを設けることが禁止され、また、App Storeでの販売価格が外部課金を利用した場合と同額かそれ以下の価格にすることが求められました。外部課金が完全に禁止されるわけではありませんが、これはパブリッシャーには大きな痛手です。ユーザーからすればApp Storeで一元的に購入できる手軽さは魅力ですが、パブリッシャーからすると、新規読者の開拓のための踏み絵としてAppleに売り上げの30%を渡すのかという悩ましい選択を強いられることになります。

 もちろんこのモデルは、Appleの製品やサービスが今後も変わらぬ支持を得るという前提があって成り立つものです。1月に米国で開催された「2011 International CES」や、2月中旬にスペインのバルセロナで開催された「Mobile World Congress 2011」では数多くのAndroid搭載デバイスが登場しており、市場ではAndroid搭載スマートフォン/タブレットが急速に普及してきていることは間違いありませんが、AppleがiPhone/iPadで築いてきた勢力図がすぐに変わることはないため、一概にAndroidにフォーカスすればよいというものでもなく、結局はAppleの要求をのまざるを得ないことになるのは明らかです。

 ただし、こうしたAppleの動きが米独禁法に触れるのではないかとして、米司法省と米連邦取引委員会は内々に調査を開始したと報じているメディアもあります。次回のeBook Forecastで取り上げることになるGoogleのコンテンツ販売・決済サービス「One Pass」も発表されたこともあり、今後、課金関連は要注目のトピックとなりそうです。

●Bordersが経営破たん

 こうした新たなデジタルメディアが登場した一方で、米国の書店チェーン第2位の米Bordersが、日本でいう民事再生法に相当する連邦破産法11条の申請準備を行っていることが報じられていましたが、米国時間の2月16日に正式に申請を行いました。米国メディアが伝えるところによると、負債総額は約13億ドルとなっており、今後数週間以内に全体の3分の1近くに相当する約200店舗の閉鎖を行うとしています。

 Bordersの破産は、電子書籍の台頭に書店経営が立ちゆかなくなったというよりは、革新や改善につながるイノベーションを起こせなかった同社の経営戦略のミスであると考えるのが適当です。同社は2001年から7年間、米Amazon.comと組んでEコマース事業に進出していましたが、2008年にこの提携を解消、独自のEコマースサイトを立ち上げるなど混迷している様子が外部からも見て取れました。これは、米国最大手の書店チェーンである米Barnes & Nobleが最初から独自のEコマースサイトで臨んだのとは対称的な動きです。

 電子書籍の領域においても、米Barnes & Nobleが独自の電子書籍端末「Nook」を開発したのとは対称的に、カナダの電子書籍サービス企業koboと提携し、kobo製の電子書籍リーダー端末や配信インフラを採用していました。比較的リスクの少ない戦略で、こちらは悪くなかったように思いますが、いかんせん動きが遅く、結果的に出遅れた感は否めませんでした。こうした経営判断のミスや、株主の変化などもあって今回の申請につながったのだといえます。

 ちなみに、Barnes & Nobleもまた、実店舗での書籍販売は落ち込んでいます。同社の第2四半期の総売上高は19億ドル(約1600億円)で、前年同期比1%増でしたが、デジタル部門は前年同期比59%増であるにもかかわらず全体では1%増にとどまっているのですから、経営は推して知るべしというところでしょう。今後、Bordersが閉鎖する店舗などを買い取っていくのかどうかが注目されます。

 アルメディアの調査では、2000年からの10年間で、日本国内の書店数は約3割減少したとアサヒ・コムで報道されています。華やかに映る電子書籍市場の一方で進む書店の経営危機、そう遠くない将来、日本でも今回のBorders同様の経営破たんが起こりそうです。

●livedoorやAll Aboutも参戦した国内電子書籍市場

 国内の電子書籍市場については、各社がさまざまな形で乗り出しているといった程度で、米国の動きに比べるとやや話題性に欠けるのですが、それでも幾つか注目しておきたいものもあります。

 まず、livedoorが電子書籍の販売を開始したことを挙げておきたいと思います。同社のオンライン書店「livedoor BOOKS」では、パピレスが提供する電子書籍販売システム「eBookBank」を利用し、4万5000点という比較的大量のラインアップで電子書籍の販売が始まっています。

 ラインアップの3割程度はアダルト系のコンテンツと独自色が強いですが、新刊本や中古本との同一カート決済などが可能な点は、NTTドコモ、大日本印刷(DNP)、CHIの共同事業会社「トゥ・ディファクト」が進めるハイブリッド型総合書店と似たアプローチであるといえます。もっとも、livedoor BOOKSは実店舗を構えているわけではありませんので、厳密にはAmazon.comに近いとした方が正確です。ビューワはそれぞれのフォーマットに合わせてユーザー側で用意しなければならない点など課題もあり、次の施策が注目されます。

 また、生活総合情報サイト「All About」も独自の電子書籍ブランド「All About Books」を立ち上げ、パブーでの販売を開始しました。最初は数タイトルからのスタートで、ページ数は18~24ページ程度とKindle Singlesに近い文量のコンテンツとなっています。サイト上のコンテンツを電子書籍としてパッケージし直して売るというモデルは、広告モデルに依存することが多いWebメディアが模索する新たな収益源の1つになっていくのでしょうか。

 All About Booksの販売場所となったパブーは国内の電子書籍販売プラットフォームとして勢いを増していますが、そんなパブーは青空文庫を原作とする漫画コンテストの開催を発表しました。青空文庫といえば、著作権の消滅した日本の近代文学作品をインターネット上で無料公開しているサイトで、青空文庫にある作品をラインアップに加えている電子書籍ストアは数多く存在します。もちろんそのことに問題はないのですが、パブーはさらに一歩先を行き、作家発掘プロジェクトという名目で青空文庫から二次創作物を生みだし、新たな才能を見つけようとしているとともに、そうしたにぎわいを作ることでこのプラットフォームにユーザーを集めようとしているのは面白い手法ではないでしょうか。

 このほか、2月上旬は、広告入り漫画ファイル配信サイト「Jコミ」を主宰する漫画家の赤松健氏がメディアに精力的に露出し、相次いで記事化されています。ITmedia上では、小説家の桜坂洋氏、編集家の竹熊健太郎氏との対談記事が相次いで掲載され、電子出版や漫画の今後について熱く語っており、一読の価値があります。【前島梓】
茶屋町の「MARUZEN & ジュンク堂書店梅田店」(大阪市北区茶屋町、TEL 06-6292-7383)で2月11日、東京・原宿の人気雑貨店「6%DOKIDOKI(ロクパーセントドキドキ)」のディレクターでアーティストの増田セバスチャンさんのトーク&サイン会が開催される。自伝「家系図カッター」(角川グループパブリッシング)刊行を記念したもの。(梅田経済新聞)

【画像】 増田セバスチャンさんの自伝「家系図カッター」

 1970(昭和45)年千葉県出身の増田さんは寺山修司さんの本に出会い1994年まで前衛演劇、現代美術の世界で活躍。1995年に「表現の場」として、「センセーショナル・ラブリー」をコンセプトにした「6%DOKIDOKI」を原宿にオープンし、オリジナル商品、セレクト、企画を展開。現在は「Kawaii」を軸にした「ジャパニーズ・ポップカルチャー」を国内外でディレクションしている。

 1月26日に発売された同書は、増田さんの個人史を「サンプル」として開示し、「社会で起きている児童虐待事件をきっかけに家族像を見直すこと」を書いた新しい家族論。両親や祖母のエピソードから、ホコ天、インディーズブランドブームが流行った90年の原宿ファッション、ショップが軌道に乗るまでの苦難の創業時代、「kawaiiカルチャー」で国内外で評価を受ける30代後半などをつづり、「子どもは作らない」という増田さんの持論を説く。

 同書発売以降、「自伝ではあるが、自分に照らし合わせて読んでいる人も多い」といい、ツイッターなどで「自分のことを話し、語ることができる」といった感想が多いという。ドキュメンタリーや講義の依頼が増えたとも。

 増田さんは「すべてさらけ出しているので裸で走っている気分。全て書いたので、自分の経験を基に、問題解決や考えてもらうきっかけになれば」と話す。

 当日は、「家系図カッター」や「6%DOKIDOKI」について語った後、サイン会を開く。現在、同店1階レジで整理券を配布している。開催は17時~18時。
骨に残されたわずかなメッセージを科学的に分析し、凶悪犯罪の真相をえぐり出す緊迫のクライムサスペンス「BONES 骨は語る シーズン5」の第15話「魂の伴侶」(FOX TVでは今週が初回放送)に、日本を代表する女優で歌手の松田聖子が出演している。

【写真】シンディ・ローパーはタロット占いを操る霊能者役で第1話にゲスト出演

松田は、日本人ジャーナリストのRiku Iwanaga役で登場。ブレナン博士の執筆した本に魅了され、取材したい一心で渡米してきた人物という設定だ。レストランでのインタビュー中にアメリカでは珍しい大地震が発生。揺れが原因となって地下鉄付近の水道管が破裂し、水に押し出されて水路から人骨が流れ出るという事件が起こる。このエピソードでは、小説への取材を通して、改めてお互いを見つめ合う登場人物たちの姿と、タイトルの通り、時代や国境を超えて、生まれ変わっても深い絆で結ばれるパートナー“魂の伴侶=ソウルメイト”との出会いのテーマになっており、事件を通して大きく成長する心理学者スイーツの姿が感動を呼ぶ物語だ。

第15話を監督した俳優のチャド・ロウに撮影現場での松田について問うと、「撮影後に『あなたは素晴らしい俳優だ!』と言ったんだよ。優秀な俳優というものは、何もしていないと感じるくらい演技を容易に見せるものだけど、聖子には間違いなくその能力があるよ。しかも異文化に囲まれ、母国語でない言葉で演技をして、立ち位置や照明まで計算して指示通りに身体を動かす。これは本当に難しいことなんだ。それを全てきちんととこなした彼女を僕は高く評価しているよ」と絶賛だ。主演のブレナン博士を演じるエミリー・デシャネルも「スウィートで、ラブリーで、そしてプロフェッショナルだった」と評価。また、「聖子は信じられないぐらい素晴らしく美しい肌と髪の持ち主だが、日本には何か特別な技術があるのかしら」と、その美貌にも興味津々だったという。アンジェラ役のミカエラ・コンリンも、「彼女は本当にプロ意識が高かったわ。自分以外のところまで全てのセリフを覚えているのよ。とにかく素晴らしい女性ね」とすっかり感心していた。

また、第1話「楽園の果て」には歌手で女優のシンディ・ローパーがイメージにぴったりなタロット占いを操る霊能者役でゲスト出演し、第10話「聖夜の誓い」にはエミリー・デシャネルの実妹で、『(500)日のサマー』のサマー・フィン役ズーイー・デシャネルも登場している。ハリウッドスターらも認めた松田聖子が熱演する第15話「魂の伴侶」は4月2日(土)にレンタルスタートするVol.8に収録される。「BONES 骨は語る シーズン5 DVDコレクターズBOX」は4月2日(土)より発売だ。【Movie Walker】
「2011 International CES」の東芝ブースでは、裸眼立体視可能な液晶テレビ「グラスレス3Dレグザ」の大型モデル試作機を大々的にアピールしていたほか、テレビ向けに開発中の音声認識技術やタブレット端末も展示するなど、見どころが多い。

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 裸眼立体視可能なテレビは、CES開幕直前のカンファレンスで発表されたもの。プレスカンファレンス後のパーティーでは56V型のモデルのみを展示していたが、会場では65V型も見ることができたほか、日本で昨年末に発売した20V型と12V型も並べている。昨年10月の「CEATEC JAPAN」と同じように入場制限を行っていたため、ブースには長蛇の列ができていた。

 テレビ向けの新技術としては、音声認識を使ったテレビ操作のデモンストレーションを行っていた。テレビの上に設置したWebカメラを使い、手を2回叩くと音声認識がスタート。「チャンネル」や「ボリュームアップ/ダウン」「HDMI」といった言葉に反応し、テレビがチャンネルやボリュームを変えたり、入力をHDMIに切り替えたりする。

 今回のデモでは、チャンネル番号、チャンネルアップ/ダウン、ボリュームアップ/ダウン、ミュート、HDMI、インフォメーションといった限られた言葉(英語)しか反応しなかったが、さらにコマンドを増やすことも可能だという。言語も英語だけでなくフランス語やスペイン語、ドイツ語、日本語といった言語に対応できるそうだ。

 同社ではこれまでもジェスチャーでテレビを操作する技術展示などを行ってきたが、音声認識なら台所仕事をしながらなど、テレビから離れていても操作が行える。また、通常操作ではメニューの深い階層にある機能も一発で選択できる点もメリットだ。ブースの説明員によると、技術的なめどは立っており、今後はどういった機能を対応させるか、カメラの実装方法などをクリアして「今年中にも製品化したい」という。ただし、「こうした機能はアメリカのほうが受け入れられやすい」ため、まずは米国での展開を検討しているようだ。

 そのほか、テレビ向けにはSkypeと連携してビデオチャットが行えるシステムやネットワーク経由で動画配信サービスを利用するIPTVの展示が行われていた。また、3D関連では裸眼立体視対応のノートPCも展示されており、来場者の関心を集めていた。

 一方、タブレット端末は、稼働していない状態でクリアケースに収められたモックアップ展示だった。ブースには2種類のタブレットが用意されており、1つはAndroid OSを搭載。まだ正式発表前のAndroid 3.0(Honeycomb)を採用するという。液晶サイズは10.1型で、NVIDIA Tegra 2プロセッサを搭載。マルチタッチもサポートする。インタフェースとして、ミニUSB、HDMI、SDメモリーカードスロットなどをそれぞれ搭載しており、前面に200万画素、背面に500万画素のカメラを備える。米国では今春の発売を予定しているそうだ。

 もう1台は、11.6型とさらに大きな1366×768/16:9の液晶パネルを搭載し、OSにWindows 7を採用するスレートPCだ。プロセッサはIntel Atomを採用し、DLNA互換の独自ソフトウェアも搭載するという。ただし、今回のスレートPCは技術展示に近いようで、現時点で発売予定はないそうだ。【小山安博,ITmedia】
本誌週刊ポストが行った「性体験のある18歳~69歳までの女性3000人対象」を対象にした調査で「不倫経験がある」と答えたのは人妻2041人のうち 29.6%。そのなかで「これまでの不倫相手は何人ですか?」という問いに対しては、「1人」が48.3%。以下「2人」(25.0%)、「3 人」(11.8%)と続くが、「10人以上」も3.5%いる。

「不倫相手に求める最大のものとは何ですか?」という問いに対しては、「セックスの相性」(27.2%)・「優しさ」(26.5%)がツートップ。「収入・経済状態」(8.5%)・「社会的地位」(1.8%)・「学歴」(0.2%)はほとんど求めないと言える。年齢にいたっても、0.2%という結果。不倫相手に、年の差は無関係のようだ。