ぼくにはともだちがいませんでした。 ぼくはいつもひとりであそんでいました。 ある日、ぼくはおばあさんからふしぎなたまごをもらいました。 「これはとってもすてきなともだちになるから、だいじにしてね」とおばあさんはいってくれました。
ぼくはたまごをだいじにかかえて、うちにかえりました。 たまごをふとんのなかにいれて、やさしくなでました。 すると、たまごがぴょこぴょことおどりはじめました。 「うわー、たまごがうごいてる!」 ぼくはおどろきましたが、うれしくなりました。 「きっとすごいともだちがうまれるんだ!」 ぼくはたまごにはなしかけました。
しばらくすると、たまごがわれて、なかからかわいいこえがきこえました。 「ぴよぴよ!」 ぼくはたまごのなかをのぞきました。 そこには、まるいからだに、おおきなめと、ピンクのはなと、オレンジのつばさとしっぽをもった、 ふしぎないきものがいました。 「きみはだれ?」 ぼくはきいてみました。 「ぴよぴよ!ぼくはピヨちゃんだよ!」 いきものはこたえました。
ピヨちゃんはぼくのともだちになりました。 ピヨちゃんはとてもやさしくて、おもしろくて、たのしかったです。 ピヨちゃんといっしょにあそんだり、おしゃべりしたり、おやすみしたりしました。 ぼくはもうひとりじゃありませんでした。
でも、ある日、ピヨちゃんがいってしまいました。 「ごめんね、ぼくはもうここにいられないんだ。でも、きみのことをわすれないよ。またあえる日まで、さようなら」 ピヨちゃんはそういって、オレンジのつばさをひろげて、そらにとんでいきました。
ぼくはかなしくて、なきました。 でも、ピヨちゃんがくれたおくりものをみると、ちょっとやさしくなりました。 それは、ピヨちゃんがつくった絵本でした。 タイトルは「ぼくのともだち」でした。
絵本のなかには、ぼくとピヨちゃんのすてきなおもいでがかかれていました。 「ありがとう、ピヨちゃん。きみもぼくのともだちだよ。またあえる日をたのしみにしてるよ」 ぼくはそうつぶやきました。
おわり



