Ethnic Studies -少数民族学--Languston Hughes



【Mother to Son: Languston Hughes】


Well, son, I'll tell you:
Life for me ain't been no crystal stair.
It's hard tacks in it,
And splinters,
And boards torn up,
And places with no carpet on the floor---
Bare,
But all the time
I'se been a-climbin' on,
And reachin' landin's,
And turnin' corners,
And sometimes goin' in the dark
Where there ain't been no light.
So boy, don't you turn back.
Don't you set down on the steps
'Cause you finds it's kinder hard.
Don't you fall now---
For I'se still goin', honey,
I'se still climbin',
And life for me ain't been no crystal stair


母から息子へ:ラングストン・ヒューズ 
訳:古川 博巳、吉岡 志津世

ねえ 息子や おまえに話しておくがね──            
          クリスタル
わたしの人生って 磨き石の階段みてえなもんじゃなかったよ
階段には 鋲釘がでていた
それに ささくれも
そして 張り板は裂けてめくれ
そして 床には敷物もない
むき出しの板の間だった
でも ずうっと
登り続けてきたんだよ
おどり場にたどりつき
角を曲がり
ときには 明かりのない
暗がりのなかも通ってさ
だから おまえ ふりむくんじゃないよ
ちょっとばかり きついと思ったって
階段にへたり込むんじゃない
いま ぶっ倒れちゃいけないよ──
わたしだって まだ歩いているんだよ ねえ おまえ
わたしだって まだ登ってるんだからね
                 クリスタル
それに わたしの人生って 磨き石の階段みてえなもんじゃなかったよ


これはハーレムルネッサンス期に活躍した、アフリカ系アメリカ人の作家ラングストン・ヒューズの詩です。母から子への人生についての教えを説いています。自分の人生をクリスタルの階段に置き換えて、その生き様と淡々と語りかける母の姿。時には暗闇の中と通ったり、足場の悪いような状況にもなったりしたけれども、決して母は弱音を吐きません。どんなにツライ時でも上を見て頑張ってきました。その母の強さや勇ましい姿がこの短い詩から読み取ることができます。この詩はただ母の生き方を表しているだけではなく、黒人女性の生き方を描いているように思えます。自分の人生はクリスタルのような輝かしいものではなかったけれども、それでも一生懸命生きてきて、今もなおその人生を送っている。これはこの詩が書かれた当時の黒人の苦悩のように思えます。自分は差別されている社会の中でも諦めずに前を向いて生きてきたから、今度は自分の子供に、次の世代では差別がなくなるよう諦めずに頑張るんだよというメッセージがこめられているように感じます。母親としての強さや愛情がこもっている作品です。

あなたが親になり、子供が自分の人生を歩んでいく時、どんな言葉をかけることができますか?