ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂 | フランス語学習ブログ
まだ右目は痛むのですが、本を読めないのが一番辛い。ということで、大学病院の膨大な待ち時間の合間に片目で少しずつ読みました。
例によってジョン・マンの小説風伝記で、これはアメリカ人が書いた本です。

ジョン・マンという人物については、日本よりもアメリカの方に資料が沢山残っていて知名度も高いからさぞかし詳細な伝記だろうと思って読んだものの、前回読んだ子孫の中濱武彦さんの作品「ファースト・ジャパニーズ」の方が細かいエピソードにあふれていました。

「ジョン・マン」というアメリカ名は、山本一力さんの「ジョン・マン」によると「ジョン・ハウランド号の男」にちなむと描かれていましたが、この本ではマンは万次郎からとってさらっとつけただけみたいなので気が抜けた汗

ただ、この本のあとがきで初めて知ったこともありました。(万次郎の初恋の相手、キャサリンがもらったラブレターを死ぬまで大事に持っていたことなど)

ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂/集英社

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全般にダイジェスト的な万次郎の生涯をわかりやすく一般向けに書いたような印象で、万次郎マニアにとっては新しい発見はなかったのですガーン(何様)
日本に帰ってからの万次郎についてはアメリカから調べただけなのか、きわめてざっくりとしかまとめてなかったのが残念でした。
サブタイトルほど、日本人のサムライ観に関して触れていたわけでもなかったし。

とはいえ、この本の中で一番わくわくしたフレーズを書き留めておきます。

「じ(イン)ーり(ディ)ーき(ペン)ーで(デント)!」万次郎は声のかぎりに叫んだ。この感覚はなんだろう?青空の下、風に髪をなびかせ、大声をあげ、わくわくしている。それは万次郎がアメリカでよく感じることだった。この国では、人々はなんでも声高に主張し、笑いたいときに笑い、いなか道を歩きながら歌い、気がむけば家のなかでも口笛を吹く。この国の人たちは遠くへ出かけるとき、とても速い乗り物に乗る。「おまえはだれだ。どこへ、なにをしに出かけるのか」などときかれることもない。この感覚。万次郎にはわかった。自分の下で道がうしろへ流れ、まぶしい新緑の森がすごい速さでうしろへとび、空はうごめく青い海のようにみえるなか、気づいた。これが、自由だ。

この部分や、日本が世界に開かれようとする倒幕・開国の瞬間の箇所を読んだ時、自然と頭の中に大河ドラマ「龍馬伝」のオープニングの曲が鳴り響きました。

うーん。再来年は万次郎を主役に大河ドラマを作ってほしいなあ。(山本一力さんの原作で)
「八重の桜」もうすでにリタイアしかかっています(汗)