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これは、文庫本もあったのですが、あえてハードカバーの方を借りたものです。
どこかで、東野圭吾さんがこのタイトルをとても気に入っている、とインタビューでおっしゃっていたのを見かけて、かねてからぜひ読んでみたいと思っていた小説でした。
この医学小説に関して、奇遇にも最近見た映画やマンガで内容的にリンクするものがありました。
一つは、映画「ミックマック」です。
ミックマック [DVD]/角川書店
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これは自分の父親を殺した武器を製造した会社にイタズラで復讐するというもの。(あんまり心情的に楽しいストーリーには思えなかったので、ブログで紹介しませんでしたが、Youtubeで不正を訴えるという比較的新しい手法が取り入れられていたのでびっくり)
それから、今読んでいる「JIN」。江戸時代にタイムスリップした現代の外科医が、道具も検査機器も薬もない中で精一杯人の命を救おうとする感動的な物語です。
そして、東野圭吾さんの医学ミステリーは、恋人を殺されたことに復讐しようとする犯人やそのトリックではなく、医師が懸命に人の命を救おうとする熱意と、医療の真髄には無知な素人との対決構図がメインテーマとなり、非常に面白くスリリングでした。
「今やるべきことをするしかない=使命」という西園医師の言葉は、「JIN」の南方仁も言っていたので驚きました。
使命が人を、魂を、強く突き動かす原動力となるのです。
”復讐”というのはどの犯罪でも浮かび上がって来る動機の一つです。
が、その復讐がまた次の犯罪を産むだけで、なんの解決にもならないことは、あらゆる小説で描かれ訴えられている人生の教訓でもあります。
そして”良心”が人間を人間たらしめる最大の美点なのではないでしょうか…
そんなことを思いながらまた東野ミステリーと、医学小説の虜になっている自覚を得ました。
本当に、犯罪・復讐から立ち上がる生命と人間性への回帰を描かせたら一流です。そう思います。
殺人もいいけど、もっと沢山、医学ミステリーを書いてほしいです、東野先生!