ま、いっか。 | フランス語学習ブログ
ま、いっか。/浅田 次郎

¥1,470
Amazon.co.jp

「王妃の館」が面白かったので、ついでにエッセイも読んでしまいました。

これは雑誌「MAQUIA」の連載コラム「男の視線」に、単行本未収録のエッセイを追加したものです。
ブティックを経営していらした浅田次郎さんのダンディズム・おしゃれ道がたっぷり読めるだけでなく、ためになる蘊蓄や人生観も豊富に盛り込まれていて、大変有意義な読書となりました。

この本を読む前に、とある元コピーライターで現在は作家の方のエッセイを読んでいたのですが、とても残念な気分になり、どんなにつまらない本でも滅多に読書を中断しない私が、途中で読むのを放棄してしまったのです。

それというのも、私が少し前にこのブログで書いた「ずっとあなたを愛してる」という映画のこと。
私はものすごく良い作品だと感じたのですが、この元コピーライターの人はその良さがわからなかったみたいで、ただ「あちらの女性は年増でも、ものすごく男にもてる」という点にのみ注目されていたのが…(私は映画の中で、主人公がもてるわけがすごくわかったけどなあ)

この作家の小説はわりと好きだし、エッセイも時代をよく切り取っているからたまに読むのだけど、最近は書き散らしているだけの雑文に過ぎない時が多いんです。まあ元々軽いエッセイですかね。

ところが、急遽口直しに読んだ浅田次郎氏は正反対でした恋の矢

ちょうど「王妃の館」の脱稿後だったこともあり、その作品についても触れていました。
浅田次郎氏は、昔からパリが大好きで、今でもヨーロッパを旅する時は必ず到着をパリにして、帰国もパリから乗るようにしているくらいだそうです。

なぜそんなにパリがお好きかというと、ホテルのフロントで職業を聞かれた時に、「作家(エクリヴァン)」と名乗った途端、とても待遇が良くなり、「フランスという文化国家の、パリという文化都市では、小説家はどうやら特別な人らしい」とわかってからいっそう好きになったとか。
アメリカではお金持ちが、日本では芸能人がもてはやされるのに対し、フランスでは文化人が尊敬されるのです。

フランス映画の良さがわからないくらいで、単にフランスは年増の女性でももてる、と感じた人とは大違いですね(笑)
そういえばあの映画のヒロインも、元医師だけど文学については一家言あり、その議論をした後に男性からアプローチされた場面がありました。
男性相手にでもちゃんと自分の意見をはっきり言えるところが魅力になっていたんですグッド!

そのパリに関するエッセイに、とても心に響く文章があったので忘れないようメモします。

季節にかかわらず、パリの街を吹き抜けている清冽な風-まるで山間の清水のようにおいしいあの空気の正体は、その思想そのものなのだろうと私は思う。神から与えられたものではなく、その恵みを種子として人間が育んだ、平和の風である。

そうなんですよね、文化を尊重する国だからこそ、趣がわかる人にはわかる良さがあるんですっパンチ!

そして、ロンシャン競馬場で見た年長の女性の美しさについて、年を重ねた大人の女性の方が魅力的だと発見したことが書かれていました。
深い洞察力があるからこそ、成熟した物の見方ができるのですね。

というわけで、偶然だけどこの2つ(フランス、年増の女性)において対照的な浅田氏の切り口が嬉しかったのでした。
私が年を重ねた女性だから喜んでいるからではなく(笑)、大人の国のフランスの良さを浅田氏がよく熟知され、紹介しているから嬉しくなったわけですよ~んニコニコ

作家とはいえ、人にはそれぞれの考えや目線があることだし、このタイトルのように「ま、いっか。」で不快な気分も一掃してしまいましょうひらめき電球