エピソード1
主人公:相沢 愛子(大学2年)
お人よし。人を疑うことを知らない。
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それは私が大学2年生のときだった。
テニスサークルに所属していた私は、サークルの先輩と付き合うことになり
順風満帆、幸せな大学生ライフを過ごしていた。
その日はサークルの新入生歓迎会。
私たち2年生は初めての後輩を持つことで
少々浮かれモードだった。
「愛子っ!どのテーブル座る?」
「どうしよー。なんか緊張するなー」
私は親友のナオとどのテーブルに座るか悩んでいた。
全員が席につき、新入生が一人ずつ前に出て挨拶する。
「○○です、よろしくお願いします!」
「テニスは初心者ですが、がんばります」
そして、彼女の番になった。
「アキコです。早く先輩たちと仲良くなりたいです!よろしくお願いします」
細くて長い手足。
サラサラストレートのロングヘアー。
大きな瞳。
「か、かわいい…」
私はそう呟いた。
「うちの彼氏の好きそうなタイプー」
ナオはそう言うと苦笑いを浮かべた。
数日後
アキコは外見だけでなく中身も可愛らしい子だった。
すぐに私とアキコは打ち解けて、アキコを一番可愛がるようになった。
「愛子さんっ!」
私がテニスコートに入って行くと
アキコは大きく手を振ってきた。
「アキコおはよー!」
私も手を振り返す。
アキコは素直で、とても分かりやすい子だった。
私はすぐに気付いたのだ。
アキコが同じサークルのコウスケを見つめていることに。
ある日、私はアキコに聞いてみた。
「アキコさ、コウスケのこと好きでしょ?」
「えっ!?どうしてですか!?」
アキコは顔を真っ赤にし、うろたえた。
「ははっ。見てれば分かるよ」
「もおー、愛子さん、エスパーですか!?」
「でもさ、アキコ。コウスケには…」
「あ。知ってます。彼女さん、いるんですよね・・・」
アキコは悲しそうに視線を落とした。
「でも、好きになっちゃったから・・・
私、遠くから見てるだけでもいいんです。
私なんて、コウスケさんに話しかけることもできないし・・・」
アキコの細い体が、さらに小さく感じた。
儚げに微笑むアキコがとても愛おしく感じた。
男が女に抱く「守ってあげたい」とはこのことなのだろう。
私は、アキコのために一肌脱ぎたくなった。
ある日のサークルの飲み会で
私はコウスケと話していた。
「あのさ、コウスケにお願いがあるんだけど」
「なんだよ?」
「ちょっとだけさ、話したいことあるんだよね」
「うん、なに?」
「ちょっとここじゃアレだから、外で話さない?お願いっ!!」
「えー?なんだよ?・・・別にいいけどさ」
私はコウスケに店の外で待つように言うと
アキコのもとへ向かった。
「あっ愛子さーん♪」
「アキコ、こっちおいで」
「えっ?なんですか?」
「今、外にコウスケいるから
偶然装って話しておいで。
報われない恋なんてしてたら、ダメだよ。ケリつけなきゃ!
まあ何を話すかは、アキコに任せるからね」
「ま、マジですか!」
アキコは顔に緊張の色を見せると
すくっと立ち上がった。
「愛子さん、ありがとうございます!
私、コウスケさんとお話出来るだけでも嬉しいです!」
「頑張ってね!」
私はアキコの後ろ姿を見送った。
そして20分ほどで、コウスケとアキコが戻ってきた。
「愛子さんっ」
「アキコ!どうだった?」
「私・・・言っちゃいました!
好きですって…でも、諦めますって…」
アキコはそう言うとポロポロと涙をこぼした。
「ありがとうございます…私、愛子さんのおかげで諦められそうです…」
私は何度もアキコの頭を撫でた。
なんていじらしいんだ。
きっと次は素敵な恋が出来るだろう。
こんなに可愛いんだから、すっごくかっこいい男の子と付き合えるはず。
私は心からそう思っていた。
それからコウスケは、アキコのことを特に可愛がるようになった。
コウスケも私と同じく儚げなアキコを可愛く思ったのだろう。
そして数日後
私はアキコに自分の彼氏、タツヤを紹介した。
「わー!初めまして!」
アキコはキラキラして笑顔でタツヤに握手を求めた。
「想像通り、カッコイイ!!
さすが愛子さんの彼氏さんですね♪」
アキコに彼氏のことをほめられて
私は上機嫌だった。
楽しくご飯を食べ、私とタツヤはアキコと別れた。
「あー楽しかったねー!」
「うん・・・あのさー、あの子って・・・」
「可愛いでしょ!?私が一番可愛がってる後輩なんだ♪」
「そっかー・・・」
タツヤは少し考えたあと、こう言った。
「あの子、なんか危ないよ・・・」
「え?」
「いや、愛子が思ってるような子じゃないかもよ?」
「なに!?なんで!?」
「ちょっとね・・・」
初めて会ったのに、アキコの何が分かるんだろうと思った。
アキコはあんなにいい子なのだ。
数ヵ月後
まさかあんな事件が起きるとは。