こんにちは
前回のブログでは想定外な事にスパニッシュ8ノートスケールだけでかなりのボリュームになってしまったので一度区切らせていただきました
今回も通常のヘプタトニックスケールとは異なる特殊なコードスケールの実態について迫っていきたいと思います
今回紹介するコードスケールは、僕自身もまだ上手く実用出来ていない
aug
これが大いに関わるコードスケールについて触れていきます
そして、これを機に、augというコードがどういった形でコード進行の中に組み込めるのか、その理由についてもコードスケールをもって解明していきたいと思います
これまで得てきた知見や発想力などを総動員してaugも自分のものに出来るようにチャレンジしていきます
まず初めに紹介するのは「ホール・トーンスケール」です
ん?ホールトマト?(違います)
通称「全音音階」とも呼ばれるこのコードスケール
名前の通り、全てが全音(2半音)で構成されているヘキサトニックスケールです
全音ってだけでも個性ありまくりですよね、これ笑
見て下さいよ、□で囲んだ後半3つなんて全部増音程ですよ笑
これがなんとⅤ7のコードスケール上で使えるらしいんですよね
でもね?皆さん
これを解析する上で今回新たな問題に直面してしまったんですよ
これ、そもそもⅤ7上で使えるってだけなので正規のダイアトニックコード用のコードスケールではないですよね?
という事はつまり、拡張オルタード的な感じでテンション・ノートを付加するノリで使うっていう感じになるわけです
皆さんにも聞いてみたいんですが、
#12(増5度の1オクターブ上)・#13(増6度の1オクターブ上)ってありましたっけ?
聞いた事ないですよね?
既存の定義でも、
ナチュラル・テンション…9th・11th・13th
オルタード・テンション…♭9・#9・#11・♭13
基本的にはこの7つしかありません
仮に#13があったとしても、それはコードトーンとなり得るm7と重複するという事で片づけられてますし、#12なんて話題にもならない笑
そもそもテンション・ノートの定義に当てはまってないですからね
結局はm6、もしくは♭13のオルタード・テンションと見做されるのでそんな名前が出てくるはずもない
それでもⅤ7で使えるって事でコードスケール内に組み込めるって理屈的にはちょっと気持ち悪いですよね?
繰り返しますが、本来Ⅴ7はヘプタトニックスケールの中で作られるコードなのですから、この7つの音程というのは1セットで考えるのがセオリーなはずです
そしたらここだけの話という事で、
#12・#13に準オルタード・テンションという仮の名を与えて話を続けましょう笑笑笑
一応オルタード(変更された)要素はありますし、ただそれが既存の定義に当てはまらない形で存在しているだけなので理論にないからダメではなく、あくまで仮説的に存在を認めてあげた上で話を進めた方が留飲を下げられそうですしね
そんな感じで話を続けていきます
では改めて、ホールトーンスケールを準オルタード・テンション的な見方(#11はオルタード・テンションとして存在可)で実際に4つのⅤ7の各コードスケールに貼りつけてみましょう
こちらです
フリジアンド・ミナントスケールだけ長2度F#を元々のコードスケール内に持っていないため、ナチュラル・テンション9thF#と見做して付加したという感じで表記しました
全体のイメージとしてはこんな感じですかね
今回は増音程目線でのテンション・ノート付加をしたという名目のため、短6度→#12、短7度→#13という準オルタード・テンション的な扱いで表にまとめました
これでホールトーンスケールを組み込んだⅤ7の各コードスケールが拡張されたわけですが…
ここからが本番ですっ!!!
うわっ、うっざっ
っと思ったかもしれませんがお許し下さい笑
何が本番かと言いますと、ホールトーンスケールに含まれている増5度
これがこのブログ冒頭の方でお話しした"aug"が絡んでくる話をこれから展開していきます
これまでのヘプタトニックスケール達の中でaugM7になったコード達を覚えていますか?
そのコード達にはみな増5度が含まれていました
何が言いたいか?って話の前に、皆さんは、
aug7というコードをご存じですか?
augM7はあったのにaug7はこれまで紹介してきたヘプタトニックのダイアトニックコードの中に一度も出てきた事がないんです
ですが概念的に存在しているし、ネットで調べて見ると一応運用方法はあると
でも僕にはどうしてもこのaug7というのが実体をもった存在とは思えないんです
なのにどうして曲の中に溶け込む事が出来るのか
そもそもコードスケールは何を使っているのか皆目見当がつかない
...ですが皆さん
僕がこの今回のブログでやりたかったのは、このaug7を、
既存の音楽理論に則って実体ある存在として顕在化させる事
それが理論上可能なのかを実験検証してみたいと思います
まずはコードの構成なのですが、aug7は完全1度・長3度・増5度・短7度の4和音で構成されています
長3度と短7度を持っているのでトライトーンがコード内にあるという事になりますね
この事からもドミナントⅤ7として機能する事が出来そうな事が予想されます
この時点で僕がやろうとしている事についてピンときた方は僕以上に音楽のセンスが良いと思いますが、そうです
このaug7は増5度を完全5度にするとドミナント7th(Ⅴ7)になります
という事は...?
そう!aug7は、
Ⅴ7のコードスケール内に隠れている可能性がある
という仮説を立てる事が出来るのです
問題なのはどのⅤ7のコードスケール上でaug7が顕在出来るかというところなのですが、実際にコードスケールを確認して検証してみましょう
全てのⅤ7のコードスケールの中に完全1度・長3度・短7度の3つは揃っていますね
ですが肝心の増5度がいない...
やはりⅤ7上にaug7はいないのでしょうか...
って思うじゃん?
これまで僕は様々な発想の転換によって未知のコードスケールが実用可能な価値を持っていた事や従来の音楽理論との繋がりをきちんと持っていたという驚愕の事実を目の当たりにしてきました
そして今、Ⅴ7のコードスケール上でaug7が作り出せるという仮説を立ててその難問に挑んでいます
こういう言い方をしているという事はお察しの通り、もう答えは分かっているからです笑
それでは皆さんに問題です
実は先程見せた表の中にaug7になれる唯一の条件を持っているコードが2つあります
どれか分かりましたか?(続きが気になるからってせっせかとフリックしたりスクロールしないでね?笑)
そうです!
フリジアン・ドミナントスケールとミクソリディアン♭6・スケールです
ではそのまま問題を続けましょう
なぜこの2つのコードスケールがaug7になれる可能性を持っていると言っているのか、その根拠となる度数が1ヶ所だけあります
どれか分かりましたか?
ちなみに、答えはこのブログの中にあるので探してみて下さい笑
見つかりましたか?
そう!答えは短6度です
なぜ短6度かと言うと、探していただいたところに答えがあったと思います
ヒントは短6度の異名同音となるもう一つの呼び名が答えです
…もういいですね?笑
これが正解です!
短6度を増音程目線で言い換えると増5度になります
元々のコードスケールの都合上短6度として認識されていますが、音そのものは増5度と言い換えても同じです
つまり、フリジアン・ドミナントスケールとミクソリディアン♭6・スケールは完全5度と増5度(短6度)の両方をコードスケール内に内蔵していたのです
言うなれば、ここに書いていないフリジアンスケール自体がデフォルトで完全5度と短6度(増5度)の両方を内蔵しているので、そこから派生したこの2つのコードスケールは既にaug7の要素を兼ね備えていたという事になります
もはやマイナーキー上で使うために自然に生まれたと言ってもいいくらいな見事な木の葉隠れの術を巧みに使ってくれてますね、これ笑
普段は短6度という木の葉を纏って本来の姿(増5度)を隠し続けていたって事ですから、この畳返しのような発想の転換がなかったら一生aug7は架空の存在のような感じでポピュラー音楽上に堂々と顔を出す事がなかったかもしれません
という事で、掟破りの発想で隠れていたaug7の顕在化に成功しました!
これでフリジアン・ドミナントスケールとミクソリディアン♭6・スケール上で自然な形でⅤ7とaug7を状況に合わせて使い分けるという選択肢を作る事が出来ましたので、体系的に語られていたaug7がきちんと実体を持って各コードスケール上で活躍する事が可能になります
これで僕も安心してaug7を運用出来そうです
...けどちょっと待って?
マイナーキーでは自然に作れたけど、メジャーキーはそもそも短6度がないからaug7を使えないって事になりますよね?
じゃあaug7はマイナーキー限定で使えるだけでメジャーキーでは使っちゃいけないっていう風な事になりかねないですよね?このままだと
ご安心あれっ
その答えをきちんと導くために今回のブログのスタートでホールトーンスケールを語ったわけですからね
自然な状態で出来ないならホールトーンスケールを合体させればいいんです笑
という事で、人工的な超荒療治ですが、ホールトーンスケールを準オルタードスケール的な感じでメジャーキーのⅤ7の各コードスケールに合体させて人工的にaug7を生み出しました笑
人工的な処置が必要ではあるものの、メジャーキーのⅤ7のコードスケール上でもaug7を顕在化させる事が出来ました
これは本当に見事なものですよ
これが出来た事でドミナントの新たな選択肢にaug7が本当の意味で名を連ねる事が出来たわけですからね
...でもね?皆さん
喜ぶのも束の間なのですよ
これで察する事が出来た方はマジで天才だと思いますが、Ⅴ7のコードスケール上でaug7が使えるという事は、とある音程を封印しないとaug7として成立しないんです
↑↑の時から順に読まれた皆さんならもうお分かりでしょう
そうです
完全5度の封印
これをやらないといけないわけなんです
なぜかと言うと、Ⅴ7と違ってaug7はそもそもが異質な形をしているので、Ⅴ7のように自由奔放に色んな音を扱っていいわけではないんです
sus4のコードの構造をご存知ですか?
完全1度・完全4度・完全5度のAll完全音程で成り立っている3和音構成なのですが、そうです
3度がありません
正確には、3度を完全4度にsuspendedした(吊り上げた)という由来のコードなので、3度の音を含めたメロディ作りをするのはコードの性質を考えると好ましくないという事が言えます
それとaug7はやっている事が同じなので、aug7がaug7であるために完全5度を使わないでメロディ作りをしないといけないという秩序を守るのは当然という事になるわけです
前回のブログの最後にスポーツカーを例に今回このブログの話のあらすじみたいなのを前座的に語りましたが、あれはこのaug7の事を指して言っていたのです(後付けでsus4も)
ミクソリディアンスケール×拡張オルタードが旧型のスポーツカーでチューニングが自由自在である事に対し、aug7は最新のスポーツカーのように機械制御がかなり施されてチューニング可能域がほとんど少ない完成された状態と言えますので、Ⅴ7よりも制限がかかった中でメロディ作りをしないといけないのです
Ⅴ7の場合はコードをⅤ7にしておけばメロディ上はaug7っぽい事をやろうが何しようが自由ですが、aug7をコードにした場合は完全5度を封印した状態で残った音達だけでメロディ作りをしないといけません
これをきちんと弁えていないととんでもない方向に楽曲が進んでいってしまいますので、Freedomに何でもかんでもやらないように気をつけましょう
そうした音楽における秩序を守り、作法を理解した上で出来る事・出来ない事の分別をつけて作るからこそ、音楽がより美しい存在になれるわけです
当ブログを通じてaug7のような個性的なコードという完成されたものの取り扱いについてご理解いただければ幸いです
それと同時に、aug7が実体を持って存在出来る事を証明した事で今後augを用いる時はaugM7なのかaug7として用いているのかを明確にした上でaugと省略してコード進行やメロディ作りが出来るようにしましょう
ジャズの方々は4和音で語るのが基本であり、共通言語ですので、augの運用が曖昧だとaugM7なのかaug7なのかがハッキリしていないがためにミスリードして全然違う楽曲に解釈されてしまうといった事が起こってしまいますからね
音楽理論はある意味ジャズ理論による良い意味での監視があるおかげでコードの機能なども含めて体系的に成立してるわけですし、それで秩序の保たれた音楽たらしめるものを作る事が出来るわけですからね
ジャズをやられてる方々に足を向けて寝る事は出来ません
という事でですね、今回もそれなりに文字数を使ったので一回区切ります
次に紹介するコードスケールもめちゃめちゃ大事なものになるので、それも別枠で語る事にします
いやぁaug7の実体をダイアトニックコードが存在するコードスケール上で明かせたのは感動的です
このブログが僕のようにaug(今回はaug7)の使い方で困っている人達にとって道標になる事を願い、一度締めさせていただきます
それではまた、次回のブログでまたお会いしましょう
(^ ^)ノシBye Bye
参考情報元の数々↓↓
スケール(70種類以上)の構成音を調べる O-TO【音楽理論ウェブアプリ】
コードの構成音・成り立ちを理解しよう!【エレキギター博士】←aug7の基本構造について
「不器用な想いを音で描く」を信条に、SoundCloudにオリジナル楽曲と東方自作アレンジを公開中です
興味があれば聴きに来て下さい♪