こんばんは
前回のブログの時に尺の都合で宿題にさせていただいた「スーパーロクリアンスケール」に関する補足情報を今回話そうと思います
しばらく難しい話ばかりが続きますが、少しでも実践してみよう!とか、そうやって楽しめばいいんだ!といった感動を届けられるような伝え方が出来るよう尽力します
おさらい兼ねて改めて表記しますが、メロディック・マイナースケールのⅦ番目に位置するG#を主音にしたスーパーロクリアンスケールは、
オルタードスーパーロクリアンスケールを軸にしたコードスケールで、減7度が短7度になっています(□で囲んだのがその変更点)
んで、前回の宿題というのが、このコードスケールが、
メジャー・マイナー各キーのドミナント7th(Ⅴ7)に応用可能
と言われている理由について語る事です
先に申し上げますと、このコードスケールは「オルタードスケール」と呼ばれるⅤ7のメロディ作りの際のスパイス的側面で用いる事が出来ます
そもそも「オルタード(Altered)」には「変更された」という意味があるのですが、じゃあではどこがどう変わってるのかについて以下メジャー・マイナー各キーのⅤ7のオルタードスケールを再現したものをお見せします
Ex. Key=C・G7 Gオルタードスケール
Ex. Key=Am・E7 Eオルタードスケール
musescore3で作ったのですが、なぜか冒頭に「♭」と入力しても「B・b」とアルファベット表記に改変されてしまうので度数表記しました
□で示しているのが変更点なのですが、変更されている意味について分かりますか?
実はこれ、スーパーロクリアンスケールの基本骨格となる「半全半全全全全」という配置が同じなだけで、変更されているのは完全8度(完全1度の1オクターブ上)より上の音程達なんです(コードに直接関わる部分ではない)
このコードスケール自体は今までのようなコードスケールとは異なり、ダイアトニックコードの生成も踏まえたものとして存在しているのではなく、あくまで各Ⅴ7の通常のコードスケールに+αで加えるおまけ要素を示したものなのです
その+αのおまけ要素というのが、テンション・ノートと呼ばれるものです
テンション・ノートというのは、通常のコードの構成音(1度(Root)・3度・5度・7度)+αで楽曲に更なる色彩や緊張感を与える1オクターブ上の音達の事を言います
コードの構成音ではない2度・4度・6度の1オクターブ上の長9度・完全11度・長13度(通称:ナチュラル・テンション)がそれに当たります
□で示している音程達は「オルタード・テンション(短9度・増9度・増11度・短13度)」と呼ばれるもので、不協和音を意図して作り出すのを目的として使っているようなものと思ってもらえればと思います
ちなみに、先程のナチュラル・テンション(9th・11th・13th)とオルタード・テンション(♭9・#9・#11・♭13)とを合わせた計7つが理論上で言われるテンション・ノートだそうです
こうした理由で完全5度が表記されてなく、9度の音程が#・♭共に存在しているように併記されているものと個人的には解釈しています
そして、それぞれのⅤ7でこのオルタード・テンションが使える理由というのが、「アボイド・ノート」が存在しないという事です
アボイド・ノートというのは、長く響かせてしまうと音同士が濁る「不協和音」が発生する半音並びの関係にある音と言われています
誤解のないよう申し上げますが、不協和音になるから悪いという意味ではなく、ほんの一瞬存在させる程度の使い方であれば味変要素としても有効なので、忌み嫌うような存在のものではありません
大事なのは、"どういう組み合わせの時にアボイド・ノートが発生してしまうのか"という事だけ理解しておく事
ここだけ押さえておけばOKです
では、実際にミクソリディアンスケールとフリジアン・ドミナントスケール・ミクソリディアン♭6スケールの3つのⅤ7のコードスケール内でアボイド・ノートとなり得るのはどこでしょうか?
まずはKey=C・G7のGミクソリディアンスケールを例に見ていきましょう
□で示した11thがアボイド・ノートです
ミクソリディアンスケールだと長3度(B)と完全4度(C)とが半音同士でぶつかり、音が濁るという事から11thがアボイド・ノートと言われています
...ん?長3度と完全4度?
何か引っかかるものを感じたあなたは鋭い!
僕もこのブログを書いてる最中に気づいたのですが、GMaj・G7の長3度を完全4度にすると、Gsus4・G7sus4になるんです
僕はsus4の音が好きなのでしょっちゅう自作曲の中に組み込んだりします(個人的な趣味嗜好は聞いていない笑)が、この長3度と完全4度はその関係性を大いに示していると言えるでしょう
ではオルタード・テンション(♭9・#9・#11・♭13)を確認してみましょう
おっ! #11がありましたね
ナチュラルテンションの11thのままだとアボイド・ノートとしてsus4的不協和音が生まれますが、#11であれば問題ないですね
その他を確認しますと、9thと13thはテンション・ノートして存在していますので、オルタード・テンションを挿入しても全く問題なさそうです
という事で、ミクソリディアンスケール上で全てのオルタード・テンションは存在可能という事が言えます
これは他のメジャーキーのミクソリディアンスケールでも同様です
次はKey=Am・E7のEフリジアン・ドミナントスケールを確認していきましょう
おやおや?と思った方も多い事でしょう
そう、フリジアン・ドミナントスケールには□で示した通り、9th(正確には♭9)と13th(正確には♭13)の2つがアボイド・ノートとして元々存在しています
そしてこれらのアボイド・ノート
ミクソリディアンスケールの時は「sus4的要因」で成立していましたが、今回はそのパターンとはちょっと違います
両者とも「完全音程(1度・5度)」の半音隣というのがその原因のヒントになっているといます
おそらくこれは、
完全音程が安定した響きを持つため、それが壊れる関係性にある音程が側に来るのは好ましくない
という完全音程側の都合で♭9と♭13がそれに該当していると言えるのでしょう
分かりやすい例で言えば「C・C#」
単独で順に弾こうが同時に弾こうが、音にしてみてると何か気持ち悪い感じしますよね?
先程のsus4的要因の話もそうですが、半音同士というのはそれだけストレスを感じやすい関係性にあるんだと思います
そうした理由で、今回のパターンは完全音程側の都合がかなり影響したものと言えますね
ではオルタード・テンション(♭9・#9・#11・♭13)を確認してみましょう
...あれ?♭9と♭13ってさっきアボイド・ノートだと言っていたものですよね?
そう、僕はここに大いなる矛盾点を感じているのです
オルタード・テンションは不協和音的な響きを意図的に加えるために用いるものなので、言うなれば、
アボイド・ノート的側面で活用するもの
と言えます
ミクソリディアンスケールではコードスケール内に完全4度のアボイド・ノートが存在していましたが、#11のオルタード・テンションと重複する関係性にないため、#11が使用可能とされていました
ですが、今回のフリジアン・ドミナントスケールの♭9と♭13はそもそもがアボイド・ノートなので、これをオルタード・テンションと言うには理屈上少々無理があるように感じます
それぞれ9th・13thとすあれば解決可能ではありますが、これだと定義上はナチュラル・テンションで解決する事になりますし、オルタードスケールの範囲外の音を扱う事になってしまうため、理論上成立しません(一般定義されているオルタード・テンションとも言えない)
そのため、フリジアン・ドミナントスケール上でオルタード・テンションとして成立するのは#9と#11のみという事になります
マイナーキーをⅤ7を生み出すために人工的に作られたコードスケールの代償がこうした取り扱う音程の自由度にまで及んでしまうとは、中々なものがありますね(大元のフリジアンスケール自体がアイオニアンスケールの長音程を全て短音程に下みたいな感じなので、そうなっても仕方ないのは納得出来るところはあるが)
さて、ミクソリディアン♭6・スケールについても確認してみましょう
Key=AmのE7(Ⅴ7)を例にしたEミクソリディアン♭6・スケールの全容です
ミクソリディアン♭6・スケールは、ミクソリディアンスケールの長6度が短6度(もしくはフリジアン・ドミナントスケールの短2度が長2度)に変更されたマイナーキーのⅤ7のもう一つのコードスケールです
フリジアン・ドミナントスケール視点で見ると、この改良が行われた事でアボイド・ノートが□で示した♭13のみとなっています
その上で、オルタード・テンション(♭9・#9・#11・♭13)を確認してみましょう
長2度に変わった事でフリジアン・ドミナントスケールではアボイド・ノート扱いされていた♭9もオルタード・テンションとして扱えるようになりました
オルタード・テンションを活かしたいなら、名目上はミクソリディアン♭6・スケールとしてマイナーキーのⅤ7上で扱うのが良いのかもしれません
以上の考察を踏まえた上で、オルタードスケールを加えた状態の各コードスケールを以下にまとめてみました
Key=C・G7 Gミクソリディアンスケール
Key=Am・E7 フリジアン・ドミナントスケール
Key=Am・E7 ミクソリディアン♭6・スケール
先程はあえて言及しませんでしたが、もう一つの解決方法として、マイナーキーのⅤ7上でフリジアン・ドミナントスケールとミクソリディアン♭6・スケールを共存させるというのも解釈の上ではアリだと思っています笑
制作主が説明出来ればいいだけですので、聴いている分には♭9のオルタード・テンションなのか、単に構成和音の一員としてメロディに組み込んでいるだけなのかについての解釈の自由度があった方がより音楽を深い次元で楽しめますからね
とはいえ、同じⅤ7でもコードスケールが異なると使えるオルタード・テンションの選択肢が大きく変わりますし、そもそもキーに存在しない音を混ぜる事になるので取り扱いには十分注意が必要です
ですが、コードスケールの成り立ちや使い方を知っておけば面白い曲作りが出来るかもしれませんので、僕も機会があれば試してみたいですね(モーダルインターチェンジを使った拝借和音での解決がほとんどだったので)
という事で、スーパーロクリアンスケールはオルタードスケールとして各メジャー・マイナーキーのⅤ7の味変要素で活用する事が可能である事を補足的に話しました
これにてようやくメロディック・マイナースケールの解説が一通り終わったのですが、最後にもう一つだけ大事な事を話して今回のブログを閉じたいと思います
内容は、
所謂テンションコード(通常の4和音+テンション)というのは楽譜通りに和音弾きしないといけないのか?
についてです
このブログを書いてる最中でようやくハッキリしたのですが、そもそもテンション・ノート自体が通常のコードにのせるおまけみたいなものなので、テンションコードの指示があったとしても絶対にその通りに和音弾きしなければならないという意味で捉えなくても良いという事です
この時にも話しましたが、パワーコード+αの+αの部分を他の楽器で補って結果的にそのコードの存在を意識するようなメロディ作りが出来ていればそれでいいので、楽譜上のコードは「そう弾いてくれぃ」とサラッと指示しているだけの目安程度に見ておけばいいんです
その要領でいくと、テンション・ノートなるものはメロディライン上に省略される形で存在しているので、わざわざコード名とかで指定する必要なんてないんです(いちいち指示してたら楽譜が見づらいし、事細かに物理的再現も出来ない)
何言ってるか分かりませんよね?なのでこう示しましょう
Key=Cを例に、各コードのコードスケールの構成音を縦に並べ、各音程の音が混ざったメロディを作る際に想定されるコードを右に列挙したものになります
想定されるコードが見つからなかったもの(□)についてはテンションコードで表記しています
オリジナル楽曲「Mother ~母(あい)の詩~」の1サビの4小節を切り取るようにして楽譜に編集したものを例に話をしますと、先程の画像の色合いに合わせて各音程毎に想定されるコードを列挙しました
実際のコード進行はこうです
音程と歌詞の色を変えるのが面倒だったので、コードだけ実際のものに変えて表記し直しました笑
どうですか?さっきの方が細かく書かれすぎてて鬱陶しかったと思います笑
それだけでなく、□で示したところの音程はそれぞれFMaj(ⅣMaj)とAm(Ⅵm)のコード内にない音(いずれも「B(シ)」)が冒頭にきています
それでもこうして楽曲として成立しているのは、
B(シ)自体がKey=Cの構成音の1つだから
です
メロディラインというのはそのキーの構成音であればコードの構成音のみに縛られず自由に作る事が出来るのですが、その最大の根拠となりえるのが先の画像にもあったFM7(#11)(ⅣM7(#11))とAadd9(Ⅵadd9)のように、
そのキーの構成音の中で再現出来るコードが作れる(かつ楽譜上で省略可能である)事
これが僕が当ブログの最後にお伝えしたい楽譜上に示されているコードに持たせる意味の本質です
FM7(#11)(ⅣM7(#11))とAadd9(Ⅵadd9)はいずれもKey=Cの構成音の中で作る事の出来るコード達ではありますが、全体的な曲の雰囲気にも影響する可能性があるため、該当する音程(B(シ))が来たからといってその通りに弾くよう指示するのは好ましくない場合があります
特にFM7(#11)は#11を含めたテンションコードなのですが、5つの音を同時に弾くなんて事がそもそも可能なのか?という問題が出てきます
ピアノみたいに綺麗にとはいかずとも、弾く事が可能なフレットポジションがあるかもしれませんが、仮に弾けたとしても、その後に続くコードのルート音との距離感が意図しない形で生まれてしまう(1オクターブ離れてしまうなど)事で楽曲の世界観のバランスが崩れてしまう事にもなりかねません
#11を含んでしまうからといって無理にFM7(#11)とする必要はありませんし、そもそもテンション・ノート自体が通常のコード+α程度のおまけ要員なので、コード進行上絶対に必要というわけでもありません
そうしたコード達の存在のイメージだけを持たせて楽譜上に示さない見做しのテンション・ノートとして扱ってメロディライン上でだけ再現してやればいいので、ギターやピアノといった和音弾きをする楽器に全てを委ねなくてもいいと思っています
もう一度言いますが、
全体的にそのコードの存在を意識する事が出来るように補完し合えばそれでいい
ので、本当に弾いてもらいたいコードだけを楽譜上に指示し、あとは省略する形でメロディラインに再現すればそれでいいと思って今も曲作りを続けています
ネット上ではテンションコードの使い方みたいな感じで具体例を提示している方もいますが、僕みたいにいい加減に考えてる身からすると「わざわざそうする理由とは?」って感じてしまう部分があるので、あまり参考にしていません
難しく考えずに自由な気持ちで曲作りをしていただくのが精神衛生上良いので、こうした解釈の仕方もアリなのか程度に参考にしていただければと思います
これにて、マイナーキーのコードスケールについて一通り語り尽くす事が出来ました
いやぁ、ここまで話せるようになったというのも感慨深いものがあります笑
やっぱりね、曲を作り続けないと本当の意味で音楽理論は身にならないですので、皆さんも僕のブログを読んで「曲作り面白そう!」って思っていただけたら是非チャレンジしてみて下さい
どんな形でもいいので、自分の頭の中に描いている景色を音に再現し、完成した時の感動を大いに味わって下さい
その原点なくして曲作りを続けていく事は出来ません
今ほど人に聴かせるためにではなく、自分の中で満足させるために作っていた頃はそうやって音楽理論を知らずに好き勝手に作り、音の団体が曲みたいになった楽しさや感動をただひたすら噛みしめていました(今となっては恥ずかしい話笑)が、それがあったからこそ、後に音楽理論を数年かけて学び、理論を参考に当時よりもより輪郭のハッキリした曲作りが出来るようになった現在に至ります
理論に関してはまだまだ分からない事もたくさんありますが、実践を通じて一つずつ身に着けていきたいと思います
ここ最近は昔所属していた音楽グループの楽曲を久々に引っ張り出してギターのアンプ・歪み系エフェクターの見直しやボカロの再選定をしたりして曲作りを全然していなかったのですが、一旦落ち着いたので曲作りをぼちぼち再開する予定です
それなりに良い曲を作ってたんだなと当時奮闘していた自分を良い意味で称賛しながら今も聴いている(後々ちゃんと編集する予定)のですが、自作曲とはまた違う達成感や感動がやはりありますね
機会があれば、また以前のように誰かの曲なき歌詞に曲をつけるといった事もやってみたいものです(今は自分の事を最優先♪)
それでは今回はここまで
次のブログでまたお会いしましょう
(^ ^)ノシBye Bye
参考情報元の数々↓↓
スケール(70種類以上)の構成音を調べる O-TO【音楽理論ウェブアプリ】
オルタード・スケールってどんなスケール?「不器用な想いを音で描く」を信条に、SoundCloudにオリジナル楽曲と東方自作アレンジを公開中です
興味があれば聴きに来て下さい♪