こんばんは

先日公開した東方自作アレンジ「怪力乱舞 ~鬼の顔も三歩必殺~」同様、再Up的な意味合いを込めて制作経緯なども含めて1年前に公開していた当ブログを最新版として更新しました

改めて、今回紹介する東方自作アレンジは41作品目として制作した「瞳(こころ)を閉ざすその前に」
東方地霊殿に登場する古明地こいしのテーマ曲「ハルトマンの妖怪少女」を題材に、「こいしがサードアイを閉じる事になった経緯」をテーマに描いた二次創作物語付きバラードアレンジです

ここでは物語の内容を公開します

 

動画はこちら↓↓

 

:古明地こいし

:古明地さとり

:火焔猫燐

:霊烏路空

:博麗霊夢

:陽太(この物語限定の架空の男の子)

:紗月(この物語限定の架空の女の子)

 

 

古明地こいし

地底に住むさとり妖怪の一人で、姉のさとりと共に地霊殿で暮らしている

無邪気で人懐っこい性格で、事ある毎に地上へと出かけるのだが、放浪癖があるのか、何日も出かけたまま帰ってこない事がしばしばある

その度にさとりから注意を受けては何かと喧嘩を繰り返す事も多かったそう

しかし、喧嘩をする理由はそれくらいで、基本的にはこいしが地上に出て何を見て、何を学んだのかなどを聞く事がさとりの楽しみなのである

それは、我が子の成長を願う母のように

 

姉のさとりは心を読めるが故に、人間や妖怪達から忌み嫌われている

そうした者達の心の中の闇を見て心を傷め、誰とも関わりを持たないよう地底に身を潜めている

細かい事を気にせずに地上に出られるこいしの事を羨む一方、本能のままに生きるこいしが自分と同じ目に遭わないかが唯一心配らしい

どこぞの運命を操る吸血鬼というわけではないが、 不運にも嫌な予感が的中する事件が起こる

この事件をきっかけに、天真爛漫なこいしが引きこもるようになり、最終的には自らサードアイの能力を封印したという話に繋がるのだが、今回はこいしがどういう経緯でサードアイを閉じたのか語ってみたいと思う

 

それはとある昼下がりの事

こいしはいつものように地上に出かけ、人里で仲良くしている子供達と楽しい時間を過ごしていた

そんな時、一緒に遊んでいた男の子(陽太)がこんな事 を口にした

 

紗月ちゃんに何か素敵なプレゼントをあげたいんだけど、何がいいのかなぁ?

 

どうやら陽太紗月に好意を抱いているようで、紗月が喜びそうなものを考えていたようだ

これを聞いたこいし紗月の心の中を読み、あたかも紗月から直接聞かのいたような素振りで紗月の欲しいものを陽太に伝えた

後日、陽太がそのプレゼントを持って紗月の家を訪ねた所、大変喜ばれたそうだ

それを陰で見守っていたこいしも嬉しそうにしていたのだが、喜びは束の間

紗月の一言を皮切りに、事態は一変する

 

どうして私がこれを欲しいって分かったの?

 

こいしちゃんが教えてくれたんだよ。

 

え? 私、こいしちゃんにそんな事言った事ないよ?

 

え!? でもこいしちゃん紗月ちゃんから聞いたって…

 

何で? 何で誰にも言った事ない事を2人が知っているの?

怖い、2人共怖いよ…もう近づかないでっ!!!

 

陽太にもらったプレゼントを陽太に投げつけ、紗月は家に閉じこもった

事態に困惑し、動揺している陽太を心配してこいしが駆け寄ると、陽太は声を震わせながら口を開く

 

お前、どうして紗月ちゃんの欲しいものが分かったんだ?

 

え? あっ、陽太くん達にはまだ言ってなかったねぇ。

私、心を読む事が出来るんだぁ。

それで紗月ちゃんの考えてる事を読み取って陽太くんに伝えたの。

 

いつものテンションでこいしは語っているが、この時に初めて自分が妖怪である事を陽太や周りの友人達に打ち明けた

しかし、妖怪の常識など子供相手に通用するはずがなく、衝撃の事実に恐怖心を覚えた陽太の声に怒気がこもる

 

何だよ、心が読めるって…

まさか、今までもそうやって俺達の心を読んで心の中で笑っていたのか?

何が目的で俺達に近づいてきたんだよ。

お前のせいで何もかもメチャクチャだ!

もう俺達の 前に現れるな、出ていけ!!!

 

陽太の激昂に周りの子供達もつられるように罵声を浴びせ、近くに転がっていた小石をこいしに投げて攻撃し始めた

事態を読めないこいしは自分に向けられた殺意にも似た拷問の嵐をただただ受け続けた

子供達の荒ぶる声に大人達が駆けつけ、事情を聞いた瞬間に子供達に加勢し、こいしをとことん追い詰めていった

そこで飛び交う人間達の心無い数々の心(こえ)を読み取り、命の危険性を感じたこいしは辛くもその場から逃げる事に成功し、身体を引きずるようにして地霊殿へと帰った

ボロボロの姿で帰ってきたこいしを見たさとりが声をかけるも、こいしは声を荒らげてそれを払いのけ、 部屋に閉じこもった

一瞬ではあったが、さとりこいしの心を読み取り、こいしの身に何があったのかを察した

しかし、今自分が近づいたところで閉ざされたこいしの心を開く事は出来ないと悟り、刺激を与えないようしばらく様子を見る事にした

しかし、この選択がさとりにとって一生の後悔に繋がる事態になるとはこの時はまだ知らなかった

 

幾日か経過した後、一向に部屋から出てこないこいしが心配になり、さとりが扉の前で声をかけた次の瞬間、

 

あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛!!!!!

 

地獄の底で悶え苦しむようなこの世の者とは思えない慟哭にも似た悲鳴が響き渡る

 

こいし!?何があったの!?

 

慌てて扉を開くさとりの目の前には、目を塞ぎたくなるほど凄惨な光景が広がっていた

 

やせ細ったこいしがハサミを片手にサードアイを傷つけながら床や壁を血で染めていた

先程の叫び声はサードアイと自身の身体を繋ぐ管を切ろうとした結果、ハサミの刃が管の奥にある神経に触れ、その刺激の強さに激痛が生じたようだ

 

さとり様!?!?!?

 

こいしの痛々しい姿を目の当たりにしたさとりが一瞬倒れかけたが、側にいたお燐お空に救われ、何とか立ち続けた

自分以外の声がした事でこいしも正気を取り戻したのか、理性を取り戻し始める

しかし、その直後、

 

う゛っ、あ゛っ、あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!!

 

数々の傷による激痛がこいしを蝕む

あまりの痛さに床にのたうち回るこいし

そのこいしの手を取ろうと近づくさとり

 

こいし、大丈夫よ。お姉ちゃんはここにいるから。

 

苦しむこいしの側に寄り、そっと手を握るさとり

その温かさに安堵したのか、こいしの目から大粒の涙が流れ始める

 

お゛姉゛ち゛ゃ゛あ゛あ゛ん゛!!!!!

 

震え泣くこいしをそっと抱きしめるさとり

 

ごめんね。こんなに苦しんでいるのに気付いてあげられなくて。

 

こいしの身に何があったのか改めて心の中を読み取り、そこで見た人間の感情の脆さと、こいしへの制裁に憤怒と怨念の情が湧き上がる

それを読み取ったのか、泣きながらこいしが言葉を紡ぎ出す

 

お姉ちゃん、ごめんなさい。

私、お姉ちゃんとの約束を破って紗月ちゃんの心を読んじゃったの。

それで、紗月ちゃんのほしいものを陽太くんに伝えて、それで、それで…

 

つぎはぎだらけでまとまりのない言葉で事の顛末を大泣きしながら話すこいし

こいしが過度に自分を追い詰めていた理由がここで明らかになる

元々こいしさとりととある約束を交わした上で、一人で地上に出かける許可をもらっていた

それは、

 

濫りに人の心を読み、それを他人に告げたりしない事

 

幸いにもこいしが仲良くしていた子供達はさとり妖怪の何たるかを知らなかった事もあり、こいしが現れても怖がる事など一切なかった

持ち前の明るい性格で子供達とすぐに打ち解けた事で、こいしもうっかり能力を発動する事もなく過ごせていた

それを分かっていたからさとりも半ば心配しながらもこいしを地上に送り出していたが、陽太の役に立ちたいという思いのためか、当時は無意識に能力を使ってしまったらしい

そのまま知らなかったフリをして黙ってやり過ごせば事を荒立てずに済んだかもしれないが、そうした器用さを持ち合わせていないこいしは、全てをカミングアウトしてしまったのだ

こいしにも過失がある以上全てを擁護出来ないとはいえ、こんな姿になるまで自分を責め続けていたこいしに対してこれ以上厳しい言葉を言えるだけの冷徹さはさとりにはなかった

むしろ、心が読めていたにも関わらず、苦しむこいしに何も出来なかった自分の無力さを呪うばかりだった

そう考えている刹那、次に放ったこいしの言葉によって古明地家、地霊殿一家の命運が激震する

 

お姉ちゃん。

心を読めていい事なんて何一つないよ。

こんな能力があるから私達はいつまでも自由に暮らせないんだ。

私はもっと自由に生きたい。

だから、だから… ザードア゛イ゛を゛封゛印゛す゛る゛!!!

 

動揺を隠しきれなかったが、不安と焦燥に駆られるこいしの悲痛の叫びを聴きながらサードアイを傷めつけてでも手にしたいと願っているものを知るさとり

その思いが本気か、さとりはこう問いかける

 

いい?こいし

サードアイを閉じるという事は、さとり妖怪にとって死を意味するのよ。

場合によ っては、もうこいしは地霊殿(ここ)に、この世に帰ってこれなくなるかもしれない。

そんな危険と隣り合わせな事をしてでも、サードアイを閉じる覚悟はあるの?

 

さとりの問いに対し、力強く頷くこいしその思いが本物である事を確信し、こいしの背中を押す事を決意した

強く抱きしめ合いながら覚悟を決める二人

その二人を包むように白く優しい光が湧き上がる

泣きはらした顔をしたこいしが満面の笑みでさとりに告げる

 

お姉ちゃん大好き

 

こうして、サードアイを封印したこいしは「無意識を操る程度の能力」を手に入れ、 今まで以上に本能の赴くままに行動する事 が出来るようになった

その代償として、自分の存在を家族にさえ認識してもらえないという日々をかれこれ6年以上繰り返している

かろうじて霊夢が認識出来ている程度で、定期的に博麗神社に遊びに来ていると霊夢から報告を受けるものの、当のさとりこいしの姿を認識出来ていないので、霊夢も注意しづらい状況にある

事情を察した霊夢が異変さえ起こさなければ良いとし、地上でのこいしの御守り役を買って出てくれたのだ

 

"霊夢さんにおんぶにだっこになりっぱなしではいけない"

 

そう考えたさとりは、それ以降積極的に地上に赴くようになり、幻想郷で何か異変が起これば霊夢に協力するようになった

心が読める事で異変の主犯者の計画を未然に防ぐ事ができ、大事に至らずに異変解決が可能となったと霊夢から厚い信頼を寄せられたのをきっかけに、幻想郷全体からさとり妖怪の存在を受け入れてもらえる事が出来た

 

さとり様の表情が以前よりも優しくなった

 

お燐お空もその変化を察知し、地霊殿全体の空気の流れが良くなっているのを感じた

しかし、それでもこいしのいない日々が空虚なものである事に変わりはない

 

本当にこれで良かったのかなぁ?

 

まぁ、二人が決めた事だから仕方ないよ

 

その会話にさとりが笑顔で割り込む

 

こいしのあの命がけの行動で目が覚めたの。

自分の運命から逃げていたのは私の方だったんだってね。

こいしをあんな風に追い詰める事になってしまったのも、全ては私の責任。

だからこそ、こいしを見習って家にばかり閉じこもらず、煮詰まったらとにかく行動しようって思ったの。

それにね、こうして私が外に出る機会を増やす事でこいしがそのうちフラッと帰って来てくれそうな気がするの。

 

いつかまた、みんなで笑い合える日々が戻る事を信じて

地霊殿の主として、こいしの姉として恥じない日々を過ごしていく

その大切を教えてくれたこいしへの私なりの恩返しよ

 

みんなぁ、たっだいま~!!!

 

この動画は、東方Projectの原作を基に制作した二次創作です

作中の物語はこの動画限定でうp主が考案したもので、原作に全く関係のない内容もございますが、あくまで二次創作品としてお楽しみいただけると幸いです

 

音源の中に物語を自分なりに描いているのですが、いざ物語を文字にしてみると本当上手くいかないものですね…

内容が分かりにくい物語ですみませんm(_ _;)m

当方はアレンジ作りが主なので、至らない点について多少目を瞑ってもらえると助かります(^_^;

物語の内容が気になる方は、お手数ですが再生速度を遅くしてじっくり読んでみて下さい

とは言いながらも、今回は今まで以上に物語に対してかなり力を入れて制作しました

というのも、この作品は直近の私自身の心境や考えている事などを盛り込んで作っているからです

その意図として、物語の要所要所に、

 

"理由はどうあれ、自分の行動・選択した事は全て自己責任"

"誰かではなく、自分がどうしたいのかを行動に示す事"

"失った信頼は自分次第でいくらでも取り返せる"

 

そういったメッセージを込めています

これらのメッセージをどういう風に伝える展開にしようか悩みに悩みましたが、最終的に今回の形に着地しました

この物語における正確な答えはありませんが、2回目以降はさとり視点でこいしの言葉や行動を見つめてみて下さい

その時の心の状態によってこのこいしさとりの物語がハッピーエンドかバッドエンドなのかが変化すると思います

色々と騒がしく、生きづらい世の中ではありますが、この物語が最終的にハッピーエンドであると思ってもらえるような方が一人でも多く現れる事を切に願っています

 

 

あとがき含め、物語はこんな感じです

改めて読み返して一瞬涙が出かけたのですが、かなりシリアスな展開となった物語となっています

YouTube時代に動画にしようとpixivでイラスト探しをしている過程の中でシナリオ作りを並行していたのですが、本当は中盤のこいしのサードアイを傷つけるシーンは愉快犯的なハイテンションに崩壊するという設定で考えていました

ですがそのシーンに相応しいイラストを描かれた絵師様と連絡がつかなかったために、物語を繋げようと創意工夫した結果、現行の形に着地しました

 

痛々しいのはこいし自身には悪気は一切ないにも関わらず禁じ手をうっかり使ってしまい、周りに誤解されて人生を大きく変えざるを得なかったという事(原作設定を基にこのアレンジ曲の動画専用に二次創作で作っているので、本当の話ではありません)

その重要な分岐点となったのはカミングアウトのタイミング

陽太紗月(いずれもこの物語専用の架空の人物)のやり取りよりももっと早い段階で自分が妖怪である事を受け入れてもらえていたら、こいしによるいたずら程度でここまで悲惨な結末を歩まずに済んだかもしれません

一方で、世の中には残酷にも真実を知らない(告げない)方が幸せな事もあったりしますので、真実(正体・能力)を隠し通す事が出来ていたら互いにハッピーなままの日々を送れていたのかもしれません

ですが、こいしはそのどちらでもない選択をしてこのような結果を招いてしまいました(この物語の中では)

 

こいしだからこうした事例はレアケースというわけではなく、僕らの生活の中でもこれに似たような事って思い返すと案外出てきたりする事もあると思います

そうした人間関係あるある的な話をこいしに見立てて物語にしたのが今作になります

原曲のハルトマンの妖怪少女ならではの緊迫感のあるメロディラインに極端な高低差をつける事でこいしの揺れ動く感情を再現していますが、声なきこいしの想いを音で感じ取っていただけたらと思います

 

また、あとがきにもあるように、2回目以降はさとり視点で物語を読んでいただくと、凄惨な被害を受けたこいしの未来をどう導くべきかという親目線的な感じで緊迫感を楽しめる事でしょう

迫られる究極の二択(こいしの未来を受け入れるか止めるのか)に対し、決断を下すその時の皆さんの心境次第でこの物語がハッピーエンドとして受け取れるのか、バッドエンドして映るのかが大きく変わってきます

 

自分の人生に責任を持つという意味を体感出来る東方自作アレンジ動画

 

という側面でこの「瞳(こころ)を閉ざすその前に」は生まれました

ぜひそれぞれの目線で物語を音源を聴きながら読み返してみて下さい

今後の皆さんの行動における何かしらの足しになれば幸いです

 

自分で作っておいて難ですが、物語終盤の「6年」の意味を忘れました笑

おそらく、この2人が登場する東方地霊殿が2008年頃にリリースされたのを見るに、Windows版として最初にリリースされた東方紅魔郷(2002年頃)の話という設定で制作したものと思われます

そうした僕なりの原作愛も込められているというのも感じてもらえたら嬉しいですw

 

 

そんなこんなで物語の解説終了~

オリジナル楽曲の過去作再編集を進めている中ではありますが、場合によっては東方自作アレンジの過去作再編集の方が早く済む可能性があったりするので、東方自作アレンジの過去作の方がSoundCloudに多く出てくる可能性が今後あります

新作制作にいまいち着手出来ていませんが、まだ確かめたい事が様々ある中なので、過去作再編集を実験台にしつつ、納得のいく形で音源を再編集して世に送り出しますので、気長にお待ちいただければと思います

 

 

それでは今回はここまで

また次回のブログでお会いしましょう

 

(^ ^)ノシBye Bye

 

 

SoundCloudに最新音源公開中↓↓

 

※ジャケット画像:太郎様

 

https://x.com/taro_0211_?s=20

 

※Endless Storyの音源動画用のワンシーンを活用し、ジャケット画像用に編集したもの